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第236話

依田 桜理も俺に視線を滑らせ、頭から足のつま先までジロジロと見渡してからふふっと笑った。 「何友達連れて来てんだよ。彼女連れて来いって言っただろうが!」 景の体を小突きながら桜理さんが言うと、猛さんは組んでいた足を直して立ち上がる。 「あー、ごめん。もしかしてこっちの業界じゃ無い友達だったの?可愛い顔してるから駆け出しのアイドルかと思ったー。俺、石倉 猛!宜しくね?」 猛さんはさっきの態度とは一変、テレビで見るような子供のような顔でニカッと笑って手を差し出して来たから、俺はすかさず手を取り握手を交わした。 あぁ!嬉しい!俺は目を輝かせる。 「はじめまして!北村修介です!」 「しゅうすけねー。宜しく。景ちゃんの友達? あ、もしかして君がよく話に出てくる景ちゃんの幼馴染?」 猛さんはもう酔っているらしい。 俺を火照った顔で見下ろしながら何故か頭を撫でたりしてくる。 景はすかさず猛さんの手を取り払った。 「ちょっとタケ、ベタベタ触らないでくれる? 修介困ってるでしょう」 「だってなんか可愛くて。お目目がクリクリで」 「確かに。そこらへんにいる女子高生よりよっぽど可愛いぜ。手の平サイズだし。あ、俺は依田桜理」 桜理さんにも肩に手を置かれて、顔を覗き込まれる。 なんだかイケメン二人に言い寄られているようで照れてしまう。 口を一文字に結んで耐えていると、景は俺たちをテーブル席に座らせた。 「はいはい、ちゃんと紹介するからとりあえず乾杯しよう」 猛さんが俺の分のビールを頼んでくれて、乾杯をする。 景は一口飲んだらすぐにグラスを置いて、向かいに座る猛さんと桜理さんを交互に見た。 「よく聞いてね、二人とも。この人が僕の付き合ってる人」

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