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第237話
景、すごいな、ストレートに。
二人の反応はというと、驚くよりも先に笑いが出ていた。
「はぁ?景ちゃん、もう酔ってんのー?」
「もっとマシな嘘つけってんだよ。結局忙しくて連れてこれなかったんだろ?いいよ別に、またの機会で」
「僕、彼女だなんて一言も言ってないよ。付き合ってる人がいるって言っただけで」
「「は?」」
「ね、修介、僕達付き合ってるよね?」
なっ、景!何故俺に振ってくる!
三人の視線が痛い。
カーッと体と顔が熱くなってきて、逃げ出してしまいたくなる。
けれど、どうにも出来ないから、仕方なく事実を述べる事にした。
「じ、実は、お付き合いさせて頂いております……」
手を膝に置いて、冷や汗をタラタラと流し何回も瞬きをさせながら、蚊の鳴くような声で告げた。
景はふふっと吹き出して、二人を交互に見ながら頬杖をついた。
「ね?言ってた通り、可愛いでしょう?この事は絶対に内緒にしておいてね。僕が信頼できる人だけにしか言わないつもりだから」
「ちょっと待てよ!!」
桜理さんは勢いよく立ち上がったけど、周りの視線が気になったのか、またゆっくりと座り直し、体を小さくして景に話し掛けた。
「おい、景っ。気は確かか?こんなチンチクリン野郎の何処がいいんだよっ?」
「ちっ、チンチクリン?!」
桜理さんは俺を指差しながら、景に詰め寄っている。
まさかそんな事を言われるとは思わなかったから、俺は目を丸くしたまま固まった。
「あははー。景ちゃんマジサイコー。修介ってメンズだよね? マジなの?」
猛さんは身を乗り出して、俺の頬を人差し指でつつきながらケラケラと笑っている。
景はそれを自然に払ってから、「マジだよ」と答えた。
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