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第290話
「景が貰って喜ぶ物なんてよ、お前からだったら何でも嬉しいに決まってんじゃん。たとえ百円のお菓子でもあいつは喜ぶと思うぜ?」
きっと俺のプレゼント探しに付き合うのが飽きてきたんだろう。
発言がどんどん適当になっていく。
そんな翔平に反論した。
「だって、付き合って初めての誕生日やで?恋人に喜んでもらいたいっていうのは誰でも一緒やないか。翔平だってこの間のさとみちゃんの誕生日プレゼント、バイトめっちゃ頑張って結構いい値段する時計あげとったくせに」
「あぁ~、だってすげー欲しそうに雑誌眺めてたんだもーん。日付が変わった瞬間にあげたら、すげー喜んでくれてさー。翔平くんっ、大好きって」
さとみちゃんの真似なのか、声色を変えて顔を傾けている。
また翔平の彼女自慢が止まらなくなりそうだから俺は遮った。
「うんうん。分かった分かった」
「あ、お前、今めんどくせーと思っただろ?顔に書いてあんぜ。で、話は戻るけどよ、景の喜びそうな物なんて俺よりも付き合ってるお前が一番よく分かってるんじゃねーの?そんなに悩まなくてもさー、気軽に考えりゃあいいんだよ」
「うーん、気軽になぁ」
またそのフロアを一周し終えそうな時、景の雰囲気に合ってそうな店があるのを見つけて、中に入った。
何気なくラックに掛かっている服を見ていると、オシャレに疎い俺でも分かるようなブランドのロゴが何個も目に入る。
どうやらセレクトショップのようだった。
店内の照明は少し暗めで、ボサノバ調の音楽が流れている。
すぐ近くにいる男性店員さんは全身古着のような格好でニコリとしていて、雰囲気もすごくいい。
なんとなく心地よさを感じて、どんどん店の奥へと進んでいくと、四角いガラスケースがあった。
メンズ物の指輪、ネックレス、ブレスレットなどが陳列されている。
それを見て俺はピンと来た。
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