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第329話*

「あんっ!景っ……触って……っ!むりっ」 「もっとよく見せて。その扇情的な顔。僕にだけ見せるんだよ」 「あ、んぁっ……っ……」 どくん、と胸が鳴って、景への愛しさが止まらなくなって、指をぎゅっと締め付けながら動きに合わせて必死で腰を振った。 イきたくてもなかなかイけないじれったさから、もうこのままどうなってもいい、変な顔見られても、景の体に白い液を飛ばしても、もう何でもいいって思ってしまった。 「ほら、イって。僕の顔見ながら、いつもみたいに愛してるって言いながらイって」 「あっ、あっ……愛してるっ、景っ……」 泣きながらいつもみたいに恥ずかしい台詞を何度も言って、白濁の液を飛ばした。 景の体に倒れ込んで、ふと視線を滑らせると、さっき俺が付けたキスマークが少し濃くなっていたから嬉しくなった。 * * * 「修介、これからはちゃんと言ってね。迷惑だなんて思わないから」 セックスを終えた後、何処か清々しい様子で景は俺に言った。 さっきのエッチの話じゃなくて喧嘩の事だよな、と一応頭を整理させて、ベッドに横になりながら景と手を繋いだ。 「うん!言う。ちゃんと、景に言う」 「ありがと。僕、ちゃんと修介の事守るから……ずっと……」 景は満足そうに笑って、なんだか幸せそうに瞳を閉じた。 そのまま規則正しく呼吸を繰り返しているなと思っていたら、景は安心したのか、珍しく寝てしまった。 俺はその寝顔を見つめながら心に誓う。 もう絶対に、この人を不安にさせたくない。 喧嘩したらいつも景から謝ってくれるけど、受け身なのもそろそろ卒業しよう。 その前に、景とは喧嘩なんてしたくない。 ちゃんと気持ちを伝えていこう。 景が嫌だと思う事は、もうしない。 そうやって誓いながら景のおでこにキスを落としたのに、俺は数時間後、いとも簡単にその誓いを破ってしまうのだった。

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