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第388話

その言葉で、俺の心臓が飛び跳ねた。 景は難しい顔をして考え込む。 もしかして、舌使いで見抜いたのか? 俺は必死で平然を装った。 「はぁ?怪しいって、何が?」 「なんだか、態度がいつもと違う気がして……修介、何かあった?」 まさか。 桜理さんとのキスを出来るだけ思い出さないようにと必死になったのが逆に仇となってしまってたのかっ。 でも、バレるわけにはいかない。桜理さんと約束したんだから。 「何言うてんねん景。別になーんもないで?」 俺は手を左右に振りながら明るく言う。 それが返って景の疑惑の念を倍増させてしまったようで。 景は目を細めて俺をじとっと見つめた。 「修介って嘘つく時、大抵笑顔になるんだよね」 顔から火が出そうな思いだった。 それは自分でも気付いていない癖で。 「ねぇ、本当に、詩音の家で寝てたんだよね?」 「ほっ、ホンマやで?!嘘やと思うんやったら詩音くんに直接聞いてみいや!」 これは本当の事だから、何も心配しなくていいし。 「修介、何かあるんだったら、言うのは今のうちだからね?」 「もうっ、だからっ、別に何もないって言うとるやろっ」 なんで景はいつもこんなに鋭くて粘り強いんだ! しつこく食い下がってくる景に対し、少し苛立った声を出してしまった。 「何そんなにムキになってるの?……なら、本当に聞いてみるよ?いい?」 俺は心中穏やかではないが、もうこのまま突き通すしかないと思って腹をくくった。 「ええで。好きにしろや」 そう言うと、景は俺の身体を床へと倒して組み敷き、馬乗りになって、俺の顔の横に手を置いて上から見下ろした。 「じゃあ……逃げないでよ?」 景のその見下す色っぽい視線に思わずドキドキしてしまう。 でも今はそんな呑気な感情を持っている場合ではなかった。

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