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第390話
まさか、もうバレてしまうなんて。
景は犯人の取調べとかうまいんやろうな……って感心してしまったけど、慌ててブンブンと首を振った。
「修介、言い逃れは出来ないよ。怒らないから正直に言って」
「な、なんもっ」
怒らないなんて絶対嘘だ。
じっとこちらを見つめてくる景の視線に耐え切れず、瞳を揺らし、拳を作りぐっと握った。
「修介。前にも言ったでしょう。何でも受け止めるから、一人で抱え込まないでって」
「……」
そうは言われたけど、今回は特別だ。俺が悪いんだから。
どうしよう。どうしよう。
頭でぐるぐる回るだけで、いい解決策が見つからない。
あ、なんか、涙出てきたし。
数秒の沈黙が続くと、痺れを切らした景は、さっきよりも余計にニコリと口の端を上げた。
「……ふーん。僕がここまで親切に言ってあげてるっていうのに、まだシラを切るつもりなんだ?」
景の機嫌がますます悪くなってくる。
景はソファーの上に転がっていたスマホに腕を伸ばしてもう一度手に取り、また操作をし始めた。
「いいよもう。桜理に直接訊くから」
(こ、怖い。景めっちゃ怒ってる。もうこれは、絶対にバレてはアカンやつや。ほんまに俺どうなるか分からへん)
でも、まだ大丈夫。
桜理さんは口が硬いし、なんてったって俳優だ。
訊かれても知らん顔して、演技してくれるはず。
耳にスマホを当てる景を涙目で下から覗き込んでいると、景の指が口元に伸びてきた。
また唇を撫でるかと思いきや、今度は指でそこを強く摘まれる。
鳥の嘴のようにされて、何度も上下左右に引っ張り上げられた。
「ほぇっ!?」
「ほん……っとに、素直じゃないねぇ……このお口は……っ」
ぎゃーっ!
そんな、獲物を狩るような目で見ないでっ!
唇をもぎ取られるかと思ってたら、桜理さんが電話に出たらしく、ようやく指を離してくれた。
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