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第427話 番外編 ラブホテルってどんなところ?
自動ドアをくぐり、無人のパネルの前に立つ俺は、漫画やテレビでしか見た事ないような場所を実際に目にして感慨深くため息を吐いた。
それぞれ部屋の大きさや置いてある家具の種類や形も違うらしい。
景は迷う事なく部屋を選び、すぐそこのエレベーターに乗り込んだから、置いて行かれないように慌てて後を追って一緒に乗り込んだ。
エレベーターの中も普通のと違って、照明が薔薇色でエロい感じだ。
部屋に入るといきなりフリフリのベッドが……なんてことは無くて、意外にもごく普通のシティホテルと変わらないような作りだった。
というか、なんかこの部屋……
「景の部屋みたい」
景の部屋ほど広くは無いが、テレビ台は黒くて、キングサイズくらいのベッドやカーテンは赤銅色。
違うのは、ベッドサイドにローションやコンドームの入った箱が置かれているのと、ベッドの枕側の壁に大きな鏡が取り付けられている事だ。
なんでこんなとこに付いてるんだろ、とちょっと不思議になったけどあまり気にもとめず、コートを脱いでベッドにゴロンと横になった。
「ラブホってこういう感じなんね。もっとこう、やらしい感じが出てんのかと思っとったけど、普通のホテルと変わらんね」
「ふふ。ちょっと意外だった?」
景もコートを脱いで、しているアクセサリーを外し始めたから、それをじっと見つめながらちょっと意地悪な質問をしてみる事にした。
「うん。俺こういう所初めて来たから。景は何回くらいあるん?」
「……あ、お風呂入ろっか。僕、お湯入れてくるね」
逃げるようにバスルームに入っていく景をジトっと見つめたあと、転がって腹ばいになり、ベッドに取り付けられているボタンを適当に弄ってみた。
照明を付けたり消したり、ラジオを流したりして遊んでいると、戻って来た景が背中に覆いかぶさってきた。
「うぉっ」
「今日はいろいろとお疲れ様。ありがとう、父さんや母さんに会ってくれて」
「ん。俺も会えてうれしかったし。景の方こそ、ずっと運転しとって疲れたんやない?」
「運転は好きだし、まだまだ元気だよ。一緒にお風呂入ろっか?」
「……エロい事しない?」
「しないよ。たぶん」
怪しいな、と思いながらも折角だから一緒に入ってみることにした。
お互い服を脱ぎ、浴室内に足を踏み入れる。
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