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第25話

俺は、高校総体の個人戦で準優勝した。 そして、全校集会で表彰された。 「寺島晶君」 "はい"と返事をして、壇上に上がる。 壇上にいる校長に礼をして、賞状を受け取って、また礼をする。 賞状を右脇に抱え、ゆっくり後ろに向き直る。 ……こっちを見ている。 彼は、やっぱりジッと前を向いて、こちらを見ていた。 普段、彼の目に映ることのない俺が、今、彼の瞳を独占している。 俺は、小さな充足感を感じた。

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