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第28話
「美優 、プリンスに完全にフラれたらしいよ」
それはクラスの女子の会話だった。
「やっぱりね」
「美優みたいな派手なタイプ、苦手そうだもんね、プリンス」
「そうそう。逆に、あれで付き合ったらプリンスのイメージ崩れるわ」
「しかも、無表情で"あなたのことは好きではありません"って言われたみたい」
「あの顔で無表情とか、怖いよねぇ」
「でも……」
……振ったんだ。
彼は、女子の間で"プリンス"と呼ばれていた。
外国人のような見た目と、女子への対応が紳士的ということで、そのあだ名が早々に付けられていた。
まだまだ続く女子の話だったが、それよりも。
そっか、振ったんだ……。
思わず、口元が緩んだ。
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