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第29話

月日が経つのは早く、桜の季節を迎えた。 下駄箱で配布されたクラス表を確認して、新しい教室へ向かう。 その足は、やけに軽かった。 「おー、寺島も5組か!」 「また、寺島と一緒か〜」 教室に入ると、すぐに声をかけられた。 ……まだ来ていないのか。 ざっと室内を見回したがいなかった。 とりあえず、黒板に貼られてある座席表を見る。 えっ…。 思わず、何度か瞬きをする。 俺の隣に、 【佐々木 雅実】 の名前があった。

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