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第44話

彼を"雅実"と呼ぶようになって1週間。 「おは…よ……」 朝、教室に入ると、俺の隣りの席にクラスメイトが集まっていた。 賑やかな笑い声まで聞こえる。 よく見ると、いつもこの時間にはいない雅実がいた。 「あ、おはよー寺島!」 「おはよう」 「おはー」 自分の席に向かうと、彼の周りに集まっていたクラスメイトが、俺に気づいて挨拶する。 「お、おはよう、寺島」 もちろん、彼も。 俺は、カバンを雑に机の上に置いた。 クラスメイトの間から見えた彼の楽しそうな顔に、気持ちを抑えることができなかった。 「雅実、今日は早いんだ」 だから、少しつっけんどんな言い方になったのは許してほしい。

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