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第57話

「どうした?大丈夫?」 彼は、少し心配そうに俺を見る。 「あ、うん」 俺も、彼を見る。 純粋な瞳で、俺を見ている彼。 でも彼にとって、俺は周りの景色と一緒。 ただ、目に入るから見てるだけ。 そこに、何の感情もない…。 そんなことを考えていると、 「て、寺島……手出して」 彼がぎこちなく声をかけてきた。 突然の彼の言葉に"?"が浮かぶ。 「いいから、手」 少しきょどりながらも、イタズラっ子のような顔で再度俺に言う。 初めて見た彼の表情に、思わず右手を出す。 「ハイ!」 ポンッと置かれスニ○カーズ。 それは、さっき俺が渡したスニッ○ーズ?

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