59 / 140

第59話

手のひらのスニッカー○を、再度見る。 優しい彼だから、当たり前のことなのかもしれない。 けど……、 俺のこと、心配してくれたんだ。 いち景色でしかなかった俺だけど、今は彼に認識されている。 景色じゃなく、心配に値する人として。 「ハハハッ!」 「て、てら、じま?」 急に笑い出した俺に、彼の顔が心配そうな顔に戻った。 「ごめん、ごめん!俺も嬉しくて」 「?」 「雅実に2個ともあげたけど、やっぱ食べたかったんだよねー、ス○ッカーズ」 「そ、そっか!」 「ありがと、雅実!」 「う、うわっ!?」 勢いをつけて肩を組みにいった俺に、彼はよろけてバランスを崩した。 「そうだ!今度、部活見に来てよ!」 「え、え??」 「俺の凄さを雅実にも知ってもらわないとな!」 俺はニコニコと笑って、彼と肩を組んだまま教室へ向かった。 今は"コレ"で十分。 でも、きっと"コレ"じゃ満足しなくなる。 その時は……、ちゃんと伝えよう。

ともだちにシェアしよう!