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第59話
手のひらのスニッカー○を、再度見る。
優しい彼だから、当たり前のことなのかもしれない。
けど……、
俺のこと、心配してくれたんだ。
いち景色でしかなかった俺だけど、今は彼に認識されている。
景色じゃなく、心配に値する人として。
「ハハハッ!」
「て、てら、じま?」
急に笑い出した俺に、彼の顔が心配そうな顔に戻った。
「ごめん、ごめん!俺も嬉しくて」
「?」
「雅実に2個ともあげたけど、やっぱ食べたかったんだよねー、ス○ッカーズ」
「そ、そっか!」
「ありがと、雅実!」
「う、うわっ!?」
勢いをつけて肩を組みにいった俺に、彼はよろけてバランスを崩した。
「そうだ!今度、部活見に来てよ!」
「え、え??」
「俺の凄さを雅実にも知ってもらわないとな!」
俺はニコニコと笑って、彼と肩を組んだまま教室へ向かった。
今は"コレ"で十分。
でも、きっと"コレ"じゃ満足しなくなる。
その時は……、ちゃんと伝えよう。
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