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第60話
梅雨の中休み。
この時間でも、明るい教室。
「終わったー!」
両手をあげて、小テストのやり直しが終わったことを盛大にアピールすると、
「お疲れ様」
前の席に横向きで座っていた彼が、俺の方を見て微かに笑う。
今日の昼休み。
雅人が、放課後に罰掃除をすると聞いた。
必然的に、彼も放課後居残ることが容易に想像できた俺は、英語の小テストでわざとミスをして、"やり直しの為に居残る"という分かりやすい行動に出た。
勿論、そんな行動をしたところで、彼が俺の恋心 に気づくわけもなく。
二人だけで同じ空間を過ごす。
ただそれだけ。
それでも、目の前で静かに読書する彼を盗み見ることができたので、わざとミスして良かったと思っている。
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