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第103話

初めて入った図書館の資料室。 小さな明りとりの窓しかないせいか、室内は暗い。 棚に収まらない本が、そこかしこに塔を作っている。 ――……ガラガラ…カチャ―― 別館はあまり人気(ひとけ)がないものの、もしもに備えて鍵を閉める。 いや、違うな。 自分が逃げ出さない為だ。 悪夢にうなされる日々だったが、どうしても彼を諦めきれなかった。

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