140 / 140

チラリと?!夏祭り 第14話(R-18)

「…外でするなんて…」 「ゴメン、ゴメンって!」 やはり靴ズレが痛むのか、少し右足を引きずるようにして歩く雅実。 俺は"ハハハッ"っと笑いながらペコペコ謝る。 「その"ゴメン、ゴメン"には、反省の色が全く感じられない」 前を向いたまま、じと目で雅実が俺を見る。 そんな雅実に対し俺は、 「ん〜、でも、雅実も気持ち良さそうだったじゃん?」 と笑って小首を傾げる。 俺が出した後、雅実も自分のモノを扱くスピードを上げ、色っぽく息を詰め果てた。 そのときの雅実は……、壮絶にヤバかった。 木に手をついて、少しだけ俺に腰を突き出すような体勢。 行為を終え、息を整えるため上下する上半身。 露わになっていた下半身には、俺と自分の吐き出したものがべったりと付着。 それはとろりと伝い落ち、膝下まで下げていた雅実の下着を濡らしていた。 あぁ、思い出しただけで(たぎ)る。 「そ、それに関しては……」 さっきまでの不機嫌はどこへやら。 俺の言葉に思い当たるのだろう。 雅実は少し顔を赤らめ、バツが悪そうに下を向いてごにょごにょ言っている。 「また外でしたいけど、ちゃんと準備しとかないと…。今回の経験を踏まえて、着替えのパンツは必須だな」 「外では二度としない!!」 俺が冗談半分でニッコリ笑って言うと、パッと前の合わせを押さえて俺をキッと睨む雅実。 雅実の下着は思いの外俺と雅実の吐き出したもので濡れており、一応近くにあった公衆トイレで洗ったが、すぐに乾くわけもなく…。 なので、雅実は只今ノーパン状態。 乱れた浴衣をきっちり整えたものの、自分の着付けじゃ心許(こころもと)ないのか、前の合わせと後ろのラインを気にしていた。 はぁ……、雅実は怒ってるつもりかもしれないが、その顔可愛いすぎ。 「じゃあ、今度は雅実のお家でしよっか?」 「あのな寺島、俺の家は雅人の家で、も……あっ!?」 突然雅美が、帯の間に挟んであったスマホを取り出した。 「あーやっぱり。雅人から電話が…」 そう言うと、雅実はスマホを耳に当てた。 雅人に折り返したのだろう。 「あ、もしもし雅人?…うん…うん…ホント、ゴメン!下駄が合わなくて靴ズレしてさ。……うん、今駅に向かってる。…だ、大丈夫だよ!!…うん、分かった。……だから、大丈夫だって!…うん…うん。じゃ、ももチャンにもよろしく言っててね。…うん、気をつけるよ」 「雅人、何て?」 「ももチャンがいるから先に帰るって」 "ふーっ"とため息をついてひと仕事終えたような表情で、スマホを帯になおす雅実は、 「あと…」 「ん?」 付け加えるように俺の顔を見る。 「寺島に気をつけろって。って言っても、もう遅いけど」 「ははっ!そうだな!!」 俺が笑うと、赤い顔でぶすくれた雅実がグイっと肩にグーパンチをしてきた。 それが可笑しくてまた笑う。 「でも、ホントごめんな。靴ズレ気付かなくて」 笑いが落ち着いた俺は、再び雅実に謝る。 「わざわざ公園(あそこ)に行かなくても、会場でもいい場所あったの」 「寺島」 俺の言葉を遮るように声を出した雅実。 ボチボチ歩いていた足を、完全に止めた雅実に俺も足を止めた。 「まさみ?」 「寺島……俺、ここに来て良かったと思ってる」 「え?」 「その、さっきみたいな、外での、行為はなしだ、けど!けど…ここに来なきゃ寺島の本音が分かんなかったし、俺も、寺島に言いたかったこと言えなかったし……。だから、もう謝るのはなし」 いったん俯いた雅実だが、すぐに顔を上げ、 「……また来年も、あの公園で、寺島と花火が見たい」 照れ臭そうに笑う。 色気を孕みながらも、幼い少年のような雰囲気が漂う彼。 自分の気持ちに素直な彼は、快楽はもちろんだが、一番大切な思いも明確に伝えてくれる。 同じ気持ちでいてくれた恋しい人に、 「うん。来年も一緒に来よう」 俺はただ、囚われ焦がれるばかりだ。

ともだちにシェアしよう!