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ある意味、時間(とき)の流れは残酷

   生徒会の用事やら・部活やらで  ここの所ずっと忙しかった。  数日ぶりで日が暮れる前に最寄り駅に降り立つと、  駅前ロータリーの噴水の所にお下げ髪の女の子が  佇んでいた。  思わず立ち止まってしまう。  彼女は2年前海外に引っ越した元・同級生。    その時仲間内で催した送別会のあと、  偶然帰り道が一緒になり……なりゆきで、  男女の関係を持ってしまった。 「木村さん……」 「えへっ ―― 会えて良かったぁ……3年になって  から時間が超不規則だって聞いてたから、あと  30分待って来なかったら、帰ろうと思ってたんだ」    その声は心なしか疲れているように聞こえた。  彼女・木村景子は、自分から七都芽に近づくと  その身体を抱きしめた。 「ちょっ ―― 木村さん……」 「ふふ ―― 可笑しいね。アレは1度きりにする  つもりやったのに、そう思おうとすればするほど、  桐沢くんの事が頭に浮かんできて、勉強どころ  じゃなくなってさ……」 「けど、キミは高橋と――」 「あ、知らなかった? 陽太とは別れたの」 「まさか俺との事がげんい ――」 「陽太が言うには、あたしみたいな”ヤリマン・  ビッチ”にはもう付き合い切れないって。  ったく、よく言うよ。そのヤリマン・ビッチと散々  いい事して来た癖にっ」 「話し相手になら幾らでもなるけど、エッチは  しないよ」  景子は自嘲気味に微笑んだ。 「随分とはっきり言ってくれるじゃん。やっぱ  桐沢くんも他の野郎共と一緒? 擦れっ枯らしの  あたしなんか抱く価値もない?」 「そうは言って ――」 「じゃあこれからすぐホテルに行ってヤろ。この間の  七都芽くんホントに良かったわ。またあの時みたく  あたしに天国見せてよ」  (もう2年も前の事なんて、いい加減忘れて   くれよっ!!)  景子の豊満な体は、性的指向を自覚してしまった  今では何の意味も持たない。    七都芽は落ち着いた動作で自分の腕から  景子の腕を離した。  景子はその腕をまた七都芽へ絡め直した。 「頼む、離してくれ。ただの性欲処理でも、  その場限りの関係でも、キミとはセッ*スしない」   『もう、いい加減にしろ景子』  その声は2人の後方から聞こえてきた。  振り返ると、ヨレヨレの作業衣姿の若い男が  足早にやって来る。  間近に立ち止まった所で真守はやっと  その若い男が景子の元(?)彼氏の  高橋陽太だと気が付いた。  2年前の送別会には欠席だったが、  確かこの男は飛び級でハーバード大の博士課程を  修了。  外資系の大手広告代理店に入社したと聞いた。  そんな男が何故……エリートの見る影もないくらい  ヨレヨレの姿になっているのか……。 「帰るぞ」  と、高橋は七都芽の腕から景子の腕を離した。 「やだぁ。あたしはナツと浮気するんだからぁっ!」  (浮気ってなぁ……) 「ナツ、悪かったな。  この埋め合わせはいつかする」 「あぁ、気をつけてな」 

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