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作戦開始

部活は休みだが、顧問の許可をもらい理科室を使わせ貰っている。 「やった!完成だ!!」 机の上に置かれた皿の上には茶色い歪な団子が並ぶ。 それをビニール袋に無造作に入れると理科室を後にした。 実験の被験者にはもう目を付けてある。 俺は生徒の少なくなった教室の中を盗み見た。 この学校で一番人気のある男、宗方(むなかた) 勇波(いさな)。 ルックスよし、性格よし、文武両道……それで家柄も良いなんて、嫌みなくらい文句無しのハイスペック男。 俺の想像する獣人に近いのは奴を除いて他にはいない。 運が良い事に奴は今、教室に一人だ。 行くなら今しかない。 しかし……同じクラスだが話した事は無いに等しい。 どうやってこれを食べさせる? 『お腹空いてない?これ食べなよ』 あからさますぎて怪しいな。 土下座して『食べてください』 360度どこから見ても怪しさしかない。 後ろから近付いて口にねじ込む……体格差で振り払われ、吐き出されて終わる。 「何か用?」 「うわぁっ!!」 いきなり声を掛けられて、驚いた俺の手からビニール袋が落ちて……。 団子はばら蒔かれ…コロコロ…コロコロ……転がっていった。 「そんなぁ……折角作ったのに」 「ごめん、すごい視線を感じたから……何か用かと思って……」 俺が勝手に驚いただけなのに、申し訳なさそうに謝ってくれる。 袋にかろうじて残った2つの団子を拾い上げた。 「それは?」 「……何でもない」 作戦は開始する前に失敗に終わった。

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