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第2話

夜の森は予想していたものより怖かった。 風の音はうめき声みたいだし、暗くてよく見えない。 薬を作ってくれる方の家を見つけたいから、地面を歩いていたけれど、これは飛んだほうが良いかもしれない。 「上から探した方が見つけやすいかもしれないしね・・・よし!飛ぼう!」 決して怖すぎるからではない。決して・・・。 羽根をはばたかせて、地面を軽く蹴る。子どもの頃は苦戦してたな・・・今は、こんなに簡単に飛べるのに。 そう思いながら、森の中を進む。 この時、俺の意識は地面に向けられていた。 だから、高く飛んだその上に・・・糸があることに気がつけなかった。 俺が飛んでいる姿を、認識した存在が居ることにも気がつけなかった。 俺の羽根に糸の様なものが絡まって、地面に落ちたのはそれから5分後くらいだった。 羽根に手が届かないため、自分で取り除く事ができない。 俺は、少しずつ焦り始めていた。 だって・・・この糸は蜘蛛族が作れる糸だ。 蜘蛛族は、蝶族の俺から見れば恐ろしい相手だ。食べられてしまう・・・。 こ・・・こうなったら、最後の手段だ! 「だ、誰か助けてくださーい!」 大声で叫ぶ。 この森は広いから、誰かには聞こえているはず・・・多分! でも、その希望は直ぐに砕け散ってしまった。 「残念だけど誰も居ないよ。この森は俺の敷地内だからね。」 「・・・え?」 さっきまで、気配も感じなかったし足音も聞こえなかったのに・・・その声は確かに俺の背後から聞こえた。

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