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第1話~半獣人の成~
その家に生まれた子は完璧な獣人だった。
半獣人で生まれてきた、自分は
兄と姉、両親にさえ嫌がられ
外には出してもらえなかった。
その1人の名は、成「せい」という。
その子の味方は家族のなかでただ1人、
祖母だけだった。
金色の瞳に金色に輝く美しい尾・・・
彼が完璧な獣人であればだれもが彼の傍に居たがるのは
間違いない。
そんな、成の唯一の味方だった祖母は
先日亡くなりこの家で、成の味方はもう誰もいない。
自分が半獣人というだけで、
獣人の扱いをする者はこの家には
もういない。
今まで生きてこれたのは
祖母のおかげだった。
祖母亡き今、ここで生きる意味はない。
ここにいる限り、自分らしく生きる事は
出来ないと思った成は
その日、この家を出ることにした。
家族が寝静まった夜中に、そっと
仏壇の前にすわり、成は祖母に
別れを告げにきた。
「ばぁさま、俺はもう、ここには
いられない。ばぁさまがいなくなると
誰もいない。だから今日、この家を出るよ。今までありがとう…」.
成は亡き祖母に別れを告げこの家を出て行った。
そして、成は一人で生きる道を選んだ。
半獣人である成がいるこの街では生きていくことは難しい。
だから成は行く当てもなくただ、最低限度の荷物を持ち
長らく住んだ家を後にした。
なんの後悔もない。
自分はこの家に必要とされていない。
なにより、自分の存在を認めてはくれない。
願わくは、これはありえないが
運命の番に出会えたなら
成の生きる意味・・・生まれた意味が見いだせるかもしれない・・・
だが、そんな成に、運命が少しづつ
希望を与え始めていた。
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