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第1話
どかぁぁぁぁん
え、何っ!?うわ、車突っ込んでんじゃん!
大きな音を聞き、スタッフルームからフロアに出てくると、道路に面したはめ殺しの窓から、乗用車の前半分がこんにちはしていた。
幸い開店直後でお客様はそこから離れた席にお通ししていたから怪我人はいなかったけど、これはしばらく営業できないなと店長が呟いた。
運転手はひどい怪我をしていたので、救急車を手配したし、警察にも連絡した。
運転手本人からは話が聞けないので、必然的に俺たちが事情聴取を受けることになったんだけど、お客様の中には昼休みの途中だったり、このあと講義がある大学生だったりが居るので、優先的に手早く聴取されることに。
もちろん俺らは1番最後。だってどうせ仕事場だし?予定もあるわけないし?しょうがないよね。
って思ったらいきなりぶわぁぁあって猛烈な匂いに包まれた。
その匂いの持ち主はどうやら獣人警察官らしい。普通、獣人警察官が事故の現場に来ることは珍しいんだけど、今回は車から違法薬物が大量に出たってこともあって、鼻が利く彼の人も応援に来たっぽい。
あ、そうそうこの世界には多種多様な生物がたっっくさんいんの!そんで、オスメス以外にバース性ってのも存在するし、人間と動物の他に獣人っていうジャンルも存在するよ〜!
雑にめたい説明でごめんね!でも何があるのかだけはわかっといた方が楽じゃん?バース性については、説明いる?ま、別の機会にでもしようか!
それより今はこれ、匂いの元を突き止めなきゃね!
「む、発情期のΩでも居るのか?」
「はぁ?この店のΩっていったら俺くらいじゃね?この時間はお客さんでも来ないし。言っとくけど発情期じゃねえから!」
「ふむ、ではこの匂いは何だ?(フンフン)
やはり君からの匂いのようだが…っ!?」
「…っ!!うっわ、なにこれやべえ…
え、もしかしなくても俺らって、そゆこと?」
「ああ、恐らく番、なのだろうな…」
「うわうわうわっ!待って待って!俺仕事あるし、あんたもじゃん!?俺がネカフェに避難すっから、れ、連絡先!番号!こ、これ!俺の番号だから!着歴と留守電残しといて!!じゃあ!!」
うわぁぁぁぁ、番の匂い、すっげぇぇええ!
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