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第20話

「えっ?!!」 まさかの担任という発言に変な声を漏らしてしまい、先生に「文句あるのか?」と睨まれて僕は全力でブンブン頭を振って否定した。 まさか! α相手にΩが逆らうことは出来ないのを知ってて言ってるんだったら、先生は酷い先生だ。 とはいえ、例え酷い先生だとしても今はこの人が担任で文句なんて無い。 逆にこうして前以て話をすることが出来て、先生がどんな人か少しだけ分かって安心する。 人間関係を築くのが苦手な僕にとって、どんな形であれ相手の人となりが分かるだけで十分だ。 それで相手とどういう風に接したらいいか分かるから。 「まぁいい。急げ」 先生は溜め息をつきたいのを我慢した感じで急かしてくる。 「は、はいっ!」 そんな先生に僕は頷くと、慌てて後に続いた。 取り敢えず先生について分かったことは、α中のαな俺様っぽい性格だけど、ちょっと優しいのかも?ということだった。 教室に辿り着きクラスプレートを見上げて、いよいよ学校生活が始まるんだなと感慨に耽る。 これから僕はここでΩとしての教育を受けて、いずれは…。 「時間だ。ボケッとするな、入るぞ」 「えっ、あっ!ちょっ、」 すると立ち止まっていた僕の頭を鷲掴み、先生はそのまま教室へと入る。 戸惑い慌てる僕にお構い無しの先生は、「全員揃ってるな?」とドアを開けるとそう言った。 先生の声を聞きながら連れて入られた僕は、そこでハッと気がついた。 何気なく先生と一緒に入ったけれど、そのせいでクラス全員からの視線を受けてしまっていた。 ひとりで入る以上に大注目を浴びたのに気づいて、Ωとしての危機感が警戒を訴える。 Ωが不必要に目立つのは良くないことだと、小さい頃から教えられている。 αから狙われ易くなる、生意気なΩという理不尽な理由からだ。 高校デビューなんてするつもりは無かったけれど、僕は別の意味でしてしまったのかもしれない。

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