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第18話
1年生の教室に向かう僕の前を先生が歩く。
足も長いし歩くのが速くて、階段もトントン軽く上っていく後ろをゆっくり追いかける僕とは反対だ。
そんなに早く上れない。
「体力ねぇな」
「!」
そんな僕を見て、先生が呆れた様子で言った。
その言葉に胸がシクシクしてしまう。
僕はΩの中でも落ちこぼれだから…。
本当におもしろい程に体力も無い。
2階から3階へ向かう先生、それより遅れて漸く2階へ来た僕は気がついた。
そういえば先生…同じ方向だ。
そう思っていたら先生が立ち止まりクルリと振り返り訊いてきた。
「…ところでお前、何組だ?」
「え?」
不思議に思いながら「1組です」と答えると、先生は「ふーん。じゃ、着いてこい」と背中を向けて再び上がり始めた。
そんな先生の後を慌てて着いて行く。
キーンコーンカーンコーン
「あっ!」
けれど教室に辿り着く前にチャイムが校舎に鳴り響いて、僕は顔面蒼白になった。
ち、遅刻になっちゃう!
後から入ると絶対に注目を浴びて目立ってしまう。
それだけは避けたかった。
ただでさえΩだというのに、入学初日から遅刻だなんてマイナス項目を増やしたくない。
僕はムンッと気合いを入れると階段を一生懸命に駆け上がった。
なんてことない階段も僕にとっては巨大な壁の様な物で、漸く3階まで上がりきる頃にはすっかり体力を消耗してしまっていた。
疲れた…。
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