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第17話
僕が間違えて入っていたんじゃないか~っ。
言われて記憶を思い返してみれば、下げられた札を遠くから見て駆け込んだからドアに貼られたプレートなんて見ていなかった。
それに広い割りには個室が2つしかなかったのもおかしい。
もしかして洗面所の向こう側に立ち用便器もあった?
何も疑わずそのまま個室に入ったから…よくよく考えれば違和感に気づけたはずだった。
これは完全に僕のミスであり、よくやる『うっかり』だった。
このうっかりをやらかすことで、中学でもヒートの来ない上に使えないダメΩってαの人達に陰で言われてたんじゃないか…。
僕は自分の駄目さ加減に、へにょりと項垂れた。
「αに遭遇したのが学校のトイレで良かったな。外だったらお前危なかったぞ」
「う、」
確かに。
外だったら気性の荒いαに襲われている可能性だってあった。
妊娠しなくても強姦は成り立つ。
「フゥ…まぁいい。行くぞ、遅刻する」
そう言うと先生は落ち込む僕の頭を軽く小突いてから、さっさと歩き出した。
僕も黙って後に着いて歩き始めながら、先生の名前はなんて言うんだろう?と考えた。
何年生の担任かな?
それとも、ああ見えて家庭科の担当だったら笑うけど。
ちょっと怖いけど、そう考えるとなんだか楽しくなってきた。
あと、クラスはどんな感じだろう?
友達…出来るといいな…。
せめて、αが怖くないといい。
それだけで僕は救われるんだから。
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