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4花*

 花喰い鬼はゆっくりと廻に近付くと、廻の背後に回り強く抱きしめた。それは抱擁という名前の拘束だった。花喰い鬼は、廻の着物の上から太ももを、腰を、腹を、胸を撫で上げていくと、首に性感を煽る様に触れる。触れられた箇所が熱を持ったかの様に熱く、情欲の火が灯されていく。花喰い鬼に触られる度に、身動ぎながら廻は艶っぽい吐息を吐き出してしまう。花喰い鬼は廻の色白の項に顔を埋めると、鋭い歯を柔らかい肌に立てる。かぷりと項を噛まれた箇所からは、紅い雫が赤薔薇の花びらに変わり零れ落ちる。痛みと快楽の刺激が廻の体中に駆け巡る。 「いたっ……!いた、いです……っ」 「痛みだけでは無いだろ?」  いやいやと首を横に振ってむずがるが、歪んだ笑みを浮かべながら花喰い鬼に指摘されてしまい、廻は思わず顔を紅く染まらせる。花喰い鬼は、廻の腰に手を回して抱き寄せて身体を密着させる。そうして、花喰い鬼は廻の帯をしゅるりと解いていく。解かれた帯は、床にはらりと落ちて着物を肌蹴させる。廻の露出した色白の肩にかぷりと噛み付きながら、花喰い鬼の手は廻の薄紅色の乳首へと伸ばす。胸をなぞる様に触れると、乳輪の周りをゆっくりと撫でる。 「んっ……!」  胸を触れられるだけでも、敏感になってしまった肌には快楽の毒だった。もどかしい刺激に廻は太ももを擦り合わせていると、目ざとく花喰い鬼が見つけた。花喰い鬼は薄く笑みを浮かべると、廻の下半身に滑らせるようになぞる。下着を身に着けていない為、ゆるゆると勃起している廻の自身をそっと触れられる。そうして、何処からか取り出したのか、真っ白な紐で廻の自身の根元をきゅっとリボンで縛った。 「やぁっ……、と、とってくださ、い……!」 「お仕置きだからな、取る訳無いだろ」  突然、男の急所をリボンで縛られて、廻はいやいやと首を横に振って嫌がった。けれど、花喰い鬼はひどく愉し気な声音で耳元に囁くと、廻の耳朶を甘く噛んで舐めしゃぶる。そうして、再び廻の乳首に触れるとぎゅっと摘まんだ。 「ひゃ、んっ!」  廻の薄紅色に色付いた乳首を、なぞる様に触れたかと思うとぎゅっと摘まんだり、ぐりぐりと指の腹で押し潰す様にこねくり回したり、指で弾くように引っかいたりして快楽の刺激を与えていく。 「ゃ、ぁあ、んんっ!」  項や肩や背中を噛まれながら、乳首を弄られる度に情欲の火が灯されていき、感じやすい廻の自身は快楽を拾ってしまい、次第に勃起していく。けれど、勃起しても縛られているせいか、射精する事が出来ずにぐるぐると身体の中に溜まっていく。達したくても達せないもどかしさに廻の身体は苛まれた。花喰い鬼の手で弄られた廻の乳首は、赤く色付いてぷっくりと膨らんで美味しそうな卑猥な果実になる。廻は息も絶え絶えになりながら、快楽の刺激に必死に耐えていた。  飽きるまで廻の乳首を弄ぶと、花喰い鬼は廻の着物を肌蹴させる。露わになった廻の色白の臀部を揉むように触れる。臀部を揉まれる度に、面白い具合にびくんびくんと身体が跳ね上がる。そうして、背後から廻の後孔にすりすりと熱の塊が押し付けられた。廻の視点からは見えないが、その質量に、熱さに、花喰い鬼の自身が擦り付けられているのだと悟る。達せない状態で挿入されてしまったらおかしくなってしまう。そう思った廻は、ぽろぽろと白薔薇の花びらを瑠璃色の瞳から零しながら、花喰い鬼に懇願する。 「ま、まってくだ、さっ……ゃあああああああ!!!!」  けれども、廻の懇願は聞き届けられずに、花喰い鬼は廻の項を逃げられない様に強く噛むと、一気に廻の後孔に挿入する。圧倒的な質量に、廻は目を大きく見開いて悲鳴にも似た嬌声をあげる。解されていないのにも関わらず、廻の後孔は柔らかく、花喰い鬼の自身を歓迎するかの様に飲み込んでしまう。やわやわと花喰い鬼の自身を締め付ける。  花喰い鬼は廻の細い腰を強く掴むと、律動を開始する。ぱんぱんと肌と肌がぶつかり合う無遠慮な腰の動きだった。花喰い鬼から与えられる暴力的な快楽の刺激に、廻の身体は感じてしまう。あまりの強い快楽に廻は身体の力が抜けてしまうが、手首を茨で拘束されて吊るされているので布団の上に倒れる事も許されない。廻の弱点である前立腺を擦りあげながら、奥を突いていくので廻の身体は徐々に昂っていく。 「やぁ、だっ、だ、めっ……やぁあああっ!!」  そうして、弱点を責められ続けられた廻の身体は限界がきてしまい、びくんと跳ね上がり達してしまう。廻は初めての感覚に大いに戸惑い困惑した。射精せずに達してしまった自分の身体は、快楽を享受してしまっている。そう廻が思っていると、花喰い鬼は耳元で興奮した声音で囁いた。 「……っ、射精せずにイったか……はしたないな」  その言葉に廻の顔は羞恥心から真っ赤に染まり、思わず花喰い鬼の自身を締め付けてしまう。花喰い鬼から息を詰める音が聞こえ、廻の耳を舐めしゃぶりながら律動を開始させる。ぐちゅぐちゅと淫靡な水音が廻の後孔から聞こえ、和室に響き渡る。先ほどとは違う激しい律動に、廻は甲高い喘ぎ声を上げる。そうして、廻の最奥を思いっきり突くと、花喰い鬼は廻の体内に精液を吐き出した。 「ぁああああああああ!!!!」  その熱さに廻の身体は焼け焦げてしまいそうだと思っていると、廻の自身を戒めていたリボンを解いた。解かれた瞬間、射精できずにいた廻の自身からは白濁が一気に吐き出されて、布団を汚した。廻はとろとろに蕩けた表情で、ぜぇぜぇと荒い呼吸をして、息を吐き出した。すると、廻の体内に埋まっている花喰い鬼の自身が、先ほど射精して萎えたはずなのに、また大きくなったのを感じて、びくりと身体が震えた。 「これは、お仕置きだ」  残酷に告げながらも悪い笑みを浮かべた花喰い鬼は、廻の腰を掴むと律動を開始していくのだった。ぐちゅぐちゅと、中に吐き出された精液のおかげで滑りが良くなり、廻の前立腺を責め立てていく。 「ひっ、ゃぁあああ!!!」  廻の悲鳴にも似た喘ぎ声が花喰い鬼にとって心地よい音楽に聞こえる。廻は白薔薇の花びらを瑠璃色の瞳から零しながら、弱弱しく口を開いた。 「も、もう……ゆ、ゆるして……くださ……っ」  花喰い鬼は一瞬だけ廻の言葉にぴくりと反応を示した。けれども、廻の項を強く噛んで、その言葉に対して否定も肯定も返そうとしなかった。 そうして、花喰い鬼が飽きるまで廻は貪られ抱かれたのだった。

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