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19.『オメガの禁忌の片恋』
今年もまた満開の桜の季節を迎えた。三年前、当時中学生だった弟相手にはじめて発情し、゛運命のつがい゛だと知り、すぐに家を飛び出した。
桜並木の下を行き交う人の波に、気が付けば彼の姿を探している自分がいた。
僕の愛おしいつがい。なぜあの時彼を拒絶したのだろうか。血の繋がりなど今となってはどうでもいい。弟に会いたい。骨の髄まで愛され、しゃぶり尽くされ、Ωのこの体に孕むくらいの子種を与えて欲しい。
「・・・さん・・・」
最初空耳かと思った。こんな場所にいるはずもないのに。
「兄さん‼」
二度目ははっきりと聞こえた。
振り返ってみれば、背がぐんと伸び、男らしさに
更に磨きをかけた弟が笑顔で立っていた。
「俺たち、運命のつがいだよ。兄さんがどこにいても匂いで分かるよ」
「真人・・・」
もう運命には抗わない。
彼の唯一のΩとして生きていくんだから・・・・・
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