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オマケ:大河Side

初めは、ただの鬱陶しい馬鹿犬みたいな。 「きょっ、清春さんっ!」 とある休日、純が俺の家に来た。 "きょっ"なんて声を裏返して、まだ呼び慣れない呼び方で俺を呼ぶ。 「なに。」 隣に座ってる純に目を向けると、モジモジしながら顔を赤くし、俯いていた。 「あの、あの…その…っ、ぎゅって、して、いいですか…っ!」 そして、恥ずかしそうに俺を見上げる。 「…あぁ。」 手を繋ぎたいのか、と捉えた俺は片手を純に差し出す。 「で、では…、しっ、失礼しますっ!」 「…?」 純は、差し出した手を無視して何故か立ち上がり、俺の前まで来た。 「…は?」 「き、きっ、清春さん……っ、好きです…。」 そして俺の膝の上に跨り、真正面から抱き付いてきたと思ったら、小声でそう呟く。 …コイツは、本当に。 「…馬鹿犬、つかまってろよ。」 「えっ?…うわぁっ!?」 そのまま小柄な純を抱えて、立ち上がる。 向かう先は勿論、ベッド。 「せ、せんぱ…っ、わぁっ!」 「不意打ちばっかついてんじゃねーよ。そんなことしなくても、可愛がってやる。」 バフッと二人で倒れ込み、純の前髪をサラッと撫でる。 「ええっ!?なんのこと…って、ちょ、せんぱ…っ、」 「清春。」 「へ…?」 「ほら、ちゃんと呼んでみろよ。」 鼻と鼻が当たりそうなくらいに顔を近づけ、純の様子を伺う。 「や…、あの、この距離で…それはちょっと、恥ずかし…、」 「純。」 「…っ!」 「…出来たらご褒美。」 「ぅ…きっ、きよはる、さ…ッンン…!!」 出会った頃は、恥ずかし気もなく好き好き言ってたくせに、名前一つで照れるなよ。…なんて思いながらキスをした。 「…っぷは!」 「純、今度は目ェ瞑れよ?」 そんな鬱陶しかった馬鹿犬は、なんだかんだで今では、愛しい俺の犬。 -FIN-

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