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第5話

と言って番になった。僕と唯翔は。 僕は、誰からも愛してくれない。と思っていた。 こんな自分、醜いし嫌われている。そう思った。自分なんて死ねばいい。 何回か思っていた。でも、唯翔が居たから。 唯翔が僕の初恋なんだ。伝える気なんてなくてこの世にはα β Ωが存在して、唯翔は何もかもが完璧だったから、αだと確信していた。 僕はきっとΩと分かっていた。だから、番になればと思ったが、その前に唯翔には好きな人が居ると相談してきた。 その話をしてきたから、きっと好きな人は僕じゃない。と分かった。 泣きそうになった。でも、頼られている。どうしたらいいんだろう。 だから、諦めようとした。 それからだ。僕が最低限にまで唯翔に会う回数を減らしたのは。 そして、番になった時、言われた。 「俺の好きな人はな。可愛くて、頼りなくて、俺よりもしっかりしてて、人懐っこくて、笑顔が一番好きなんだ。」 「なん……で?僕に…言…うの?」 「俺のね、好きな奴は かなえ お前なんだ。ずっと好きだ。」 ___________________________________________ 少し、昔のことを思い出していた。 今では、唯翔と仲良く夫婦として生活している。 唯翔はαということで、どこかの社長をしている。僕はΩでどこにも雇ってくれないと言ったら、 「叶は俺の書記をやれ、そして帰るときは一緒に帰ること。発情期のときはちゃんと知らせて家に早く帰ること。わかったな」 と言ってくれた。 一度じゃない何度も何度も“死にたい”と思っていたこの人生を変えてくれた唯翔に本当に感謝している。 僕は、唯翔と共に歩んでいく。 過去はもう振り返らなくていい。 今、未来を変えるために 歩きだそう。

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