26 / 28
あさひ(最終話)
辺りはすっかり明るくなった。
森の息吹きが聞こえ、鳥や小動物が活動を始める。
皆が起きる時間…、また、しばらく離れ離れの生活が始まる。
お互いに離れがたく思いながら寄り添いあっていると…
不意に、小屋から目をこすりながらシィが出てくる。
「…アサト」
「シィ、起きた?」
「…ラウ?」
こくんと頷き、ラウに目をとめる。
「久しぶりだな、シィ」
優しく挨拶するラウに、シィは反応の仕方に戸惑っているようだった。
「……」
「おいで、一緒に朝日を見よう」
そんなシィを手招きして呼んでみる。
「あさひ…」
「大丈夫、ラウは怖くないよ」
ラウの腕に凭れてみせながらシィを誘う。
「ん…」
ゆっくりと頷いて、オレとラウの元にくる。
ラウの腕の中にオレとシィ、護られるように大きな尻尾に包まれて、三人寄り添いながら木の上の小屋から朝日を眺める。
「綺麗だな…」
「あぁ」
「きれい…」
森の朝日は、とても神々しく、神秘的で、これからの三人の行く末を照らし出しているかのようだった。
【還れぬ森のΩとΩと獣人α】完結。
ともだちにシェアしよう!