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第1話

黒いダークスーツの男性がマンションの前にたたずむ エレベーター最上階到着と同時になにやら騒がしい声が響いている 女性の声だ。 その男性は動じることなくその修羅場にさっさとわりこんで 「お嬢様方、おぼっちゃまはどこにいらっしゃいますか?」 は? 弦なら寝室よ! そうよ 私のよ 玄関先でなにやってるんだか 男性はすたすたと奥の部屋までいく 「おぼっちゃま、帯刀にございます」 ノックとしながら声をかけ、すぐさま扉を開ける 「よお、帯刀、元気」 この事態に気にもせず上半身裸でベッドに体を投げ出している 「お嬢様方がさわがしいのですが、またはちあわせですか?いい加減になさいませ」 この弦一郎は涼しげに いつものことだねと笑っている 女が鉢合わせはともかくいつか刺されますよと 帯刀はさっさと玄関に行き なにやら話して女性たちはそそくさとかえってしまった 「あの子たちは、べつに俺が好きってわけじゃないんだよ。だから好きにやらせておけばいい」 帯刀は 「いえ、わたくしがおぼっちゃまにお話しがあってまいりましたので、そうそうに帰っていただきました」 弦一郎はまた小言かときにもしていない さらりと書類を見せ ん? これは 解約通告書 帯刀が見せたのはこのマンションの解約通知であり 俺に出て行けってことか、笑わせるなと じっとよめば父の名が記してあるではないか この仕打ち 親父 親父 さんざん女遊びしてきたせいか この仕打ち いきなりおいだされた俺は 現在この山奥のあぜ道をあるいている。

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