2 / 27
1
『Ω は子供を孕むしか能がない。』
『半獣人は出来損ない。』
小さい頃から否定され続けて生きてきた。
両親は小さい頃に離婚。施設育ち。
父さんはウサギの獣人、母さんは人間。異種の混血。獣人と人間の間に出来た不憫な存在。
世にも珍しい半獣人。いつだって人目に曝 されつづけてきた。
隠せない耳と尻尾。獣人には蔑まれ、人間には笑われる。どちらの輪に入ることもできず、ろくに友達もいなかった幼少期。
『経験豊富で見境のないウサギ。』
『甘いフェロモンで男を誘うΩ。』
『ウサギは淫乱で常に発情中。』
『発情期のΩは性欲の塊。』
思春期を迎えてから、からかわれたり何回も襲われそうになった。
ウサギは動物界で最も性欲が強い動物と言われ、オスは常に発情しっぱなしの状態、メスのウサギは妊娠中にもさらに妊娠してしまえるほど繁殖力が強い。
『お前、Ωだろ。一回、ヤラせろ。』
『ウサギは好きモノって本当?』
好きでもない奴に押し倒されても、ただ気持ち悪いだけ。正直、セックスに嫌悪感。別にしたいとも思わない。
昔からα の男や獣人が苦手。性的に見られるだけウンザリする。
救いだったのは発情期が来てなかった事と、逃げ足だけは早かった事。防犯ブザーと催涙スプレー、電気ショックを常に携帯。それ位しないと半獣人のΩはすぐにαや獣人のオモチャにされてしまう。
人生を悲観しても性も姿も変えられない。
その日まではそう思ってた。
ともだちにシェアしよう!