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第3話

実力主義のこの学校ではαが占める割合が圧倒的に多く、毎年新入生総代はαだった。 しかし、今年の新入生総代は違った。 猫族のミケ。Ω。 彼が今年の新入生総代だった。 猫族は動物界でも最弱種とされ、しかもΩ。 親もミケがΩだと分かって、すぐに手放した。 一人ぼっちだったミケは小さい頃から馬鹿にされ、いじめられ、蔑まれて生きてきた。 生活してきた環境も最悪に等しいような場所だった。 そんな彼が生きていくには知識を得るしかなかった。 日々稼いだわずかな金で古本屋に行き、手あたり次第に買い、読み漁った。 元々勉学ができる子だったので、吸収は早かった。 一度読めば全て覚えられたし、理解もできた。 そんなある日、いつものように日銭を稼いだミケが古本屋に新な本を買いに行った時、古本屋の主人からネクスト学園のことを教えてもらった。 古本屋の主人も最初はミケのことを猫族のΩだと馬鹿にしていたが、本を読むスピード、理解する力、吸収スピード。 それらを知って、ミケに対して理解を示し、今ではミケの唯一の理解者でもあった。 極悪の生活環境のミケがより多くの知識を得て、より良い環境で生活できるのはネクスト学園をおいて他にはなかった。 ネクスト学園のことを教えてもらったミケだが、最初は乗り気ではなかった。 今までの生い立ちが生い立ちで、学園に入ってもいじめられるのがオチだ。 広い世間という現状でこれなのだから、学園という狭い環境に閉じ込められてそんなことになったら生きていけない、耐えられないと思った。 だけど、募集要項をよく読むと『完全実力主義、入学者は入試満点者のみ、年間2回一定の点数以下になるだけで強制退学』の謳い文句に惹かれてしまった。 実力ならあるし、満点を取る自信もあった。 学園がどの程度のレベルの授業をするのか分からなかったが、今の自分ならついていけると思った。 しかし、入試を受ける受験料がなかった。 どうがんばっても日銭を稼ぐのがやっとの自分では到底払える金額ではなかった。

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