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第4話
翌日、いつものように古本屋に行き、主人に丁重に断った。
理由もきちんと説明して。
すると、受験料は主人が払ってくれると言う。
それは悪いとすぐに断ったが、『出会った頃の非礼をこれで詫びさせてほしいというのは虫がいいかもしれないが、少しでも役に立たせてほしい。まだ子供なんだから、こういう時くらい大人を頼ってくれ』と言われ、その申し出を素直に受け取った。
その日のうちに受験料を支払い、願書を書いて提出した。
受験日当日。
会場は多くの受験生で溢れ返っていた。
ミケは一張羅を着こんで入試に臨んだが、周りはどうやら貴族やら財閥やらの子息ばかり。
明らかに浮いていた。
恥ずかしさから俯いて足早に試験会場とされる教室に向かっている時だった。
ドンッと人にぶつかってしまった。
「すみませんっ!」
「『すみません』じゃねぇよ。小汚い下民がどうしてこんな所にいる?さっさと出ていけ」
ぶつかったのは黒豹族の背がすらりと高く、体のラインが綺麗な男だった。
周りではクスクスと笑っている声がする。
羞恥心でいっぱいになり、ミケは踵を返した。
(こんな所やっぱり来なければよかった)
一歩踏み出そうとした時、誰かに肩を掴まれた。
振り返ると、ものすごく大柄で筋肉質な体躯を持つライオン族の男がいた。
「貴殿も受験生なのであろう?ここは実力が全て。帰るのは実力を見せてからでも遅くないのではないだろうか」
教師かと思ったが、着ている服が学生服だった。
彼も多くの受験生のうちの一人だった。
「貴様らもそんなことを言う暇があるならさっさと試験会場の教室へ向かえ。こんな所で立ち止まっては周りの邪魔であろう」
そう言い残し、ライオン族の男は行ってしまった。
ミケもハッと我に返り、急いで試験会場の教室へ向かった。
試験自体はミケにとっては難しくなかった。
全て知っている内容だった。
さらさらと問題を解き、答案用紙を裏側にして伏せる。
見直しなんて必要なかった。
ネクスト学園の受験は全てモニターで監視されている。
不正をした者はその時点で退場させられる。
そして、満点者の中で総代を決めるのは、問題を解くスピード。
ただその一点のみだった。
この時、ミケは歴代最速で問題を解いていた。
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