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第14話
卒業して数年が経つが、ミケの行方が見つからなかった。
ライアンは知らなかった。
ミケがどんな場所で生まれ育ってきたのかを。
ミケは学園に入る前の元の生活に戻っていた。
ミケの住んでいる場所はネットワークから隔離された場所。
監視カメラもなければ、インターネットもない。
情報を得ようとしたら、口コミしかなかった。
「お父さん、お仕事だよ?」
「ちょっと待って。そんなに急いだら危ないよ」
ミケが家のドアを開けた所に息子のライが呆然と立っていた。
目線を上げると、ずっと会いたかったけど会えなかった人がいた。
「ようやく見つけた、ミケ。迎えに来た」
「どうして?あなたにはそれなりの身分の番の方がいるでしょう?」
「全て断って、ライオン族次期惣領の座も捨ててきた。今ここにいるのはライアンという名を持つただの男だ」
「あなたという人はどこまで馬鹿なんですか」
「ミケを置いて他にどんな魅力的な人がいるだろうか?それに、あの時言ったはずだ。ミケの元から離れる気はない、愛していると」
「本当に馬鹿です」
「俺と番になって欲しい。そして、結婚してくれ」
「もちろんです。どれだけこの時を待っていたことか。今世では無理だから来世で…なんて馬鹿なことまで考える程にあなたのことを思っていました。あなたのことを忘れた日は一日もありませんよ、ライアン」
「ねぇ、お父さん。この人、誰?」
子供の目の前だというのに、熱烈なキスを交わす二人。
あの時ミケが言っていた論文の内容は確かで、今ではエビデンスがある。
ミケは後ろを振り向き、噛み痕のない綺麗な項を晒し、ライアンはそこにガブリと噛みついた。
これで二人は番となった。
ミケは死ななかった。
二人は会えなかった時間を埋めるかの如く、二人だけの世界に入り浸ってしまった。
ライは子供ながらに空気の読める子で、邪魔にならないようにそっと家の中に入って、大人二人の水入らずの空間を提供した。
ライアンは自分の持つネットワークを生かし、起業して一代で財を築きあげた。
そこにはミケのサポートもあって、あっという間に上流階級の仲間入りを果たした。
最初はヒエラルキー最底辺にいた猫族のミケ。
その彼がライオン族だったライアンと共に持ち前の能力を生かして手に入れた地位と財産。
運命では番えば死ぬはずだった。
それがなぜか今では番っていて、生きている。
捨てる神あれば、拾う神あり。
信じる者は救われる。
ミケとライアンは運命に全力で抗い、覆した。
二人を繋ぐ絆はより強固なものとなり、死が二人を分かつまで永遠に愛し合った。
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