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第13話
ひどい発情期から数か月後、ミケは妊娠した。
学園始まって以来の秀才と呼ばれたミケでも、例外は通用しなかった。
あと1か月で卒業というところだった。
ミケは静かに通達を受け入れた。
最後までライアンは抵抗し、教師陣や理事会幹部らに掛け合ったが、覆らなかった。
もし、ミケの例外を通用してしまったら、今後の学園生活に影響を及ぼしかねない。
ライアンの説得をしたのはミケだった。
最後は暴力に出てまで訴えようとしていたから、それを止めるのはミケ以外に適任者はいなかった。
何日も話し合い、ようやく納得してくれた。
そして、ミケはライアンに気付かれることなく学園を去った。
退学命令が出た時点で授業に参加することができなくなったミケは、ライアンが授業に出ている昼間の間に学園を去ることを決めていた。
この日もライアンは授業を終え、ミケが待っているはずの自室のドアを開けた。
しかし、そこには自分の荷物だけしか置かれておらず、今までミケが置いていた荷物がもぬけの殻になっていた。
急いで寮母さんの元へ行くと、ミケは出て行ったと聞かされた。
そして一通の手紙を渡された。
それはミケからの手紙だった。
ライアンへ
この手紙を見ている頃にはもう僕は学園を去った後だと思います。
急にいなくなってごめんなさい。
ライアンの顔を見たら絶対去れなくなると思ったから、卑怯な手ではあるけど、ライアンが授業を受けている間に去ります。
行き先は教えません。
お腹の子はちゃんと産んで、育てるので安心してください。
僕のことを好きになってくれてありがとうございました。
おかげで素敵な学園生活を送れました。
ライアンに受験の日に出会っていなかったら、僕の学園生活はこんなに素敵にならなかったはずだから。
あなたに出会うために僕はこの学園に来たんだと今なら心の底から思えます。
ライオン族は上流貴族です。
僕みたいな底辺の平民ではなく、ライオン族次期惣領に見合う素敵な方と出会って番ってください。
このお腹の子がいるだけで僕は幸せです。
あなたはあなたの幸せを追ってください。
それでは最後になりますが、本当にありがとうございました。
お体に気を付けてください。
ミケより
完全に油断していた。
毎日授業が終わって寮に戻っても、そこにはミケいる。
それが当然だった。
出て行くとは思ってなかった。
ライアンは膝から崩れ落ち、大泣きした。
ひと月が経ち、卒業式が行われた。
無事ライアンは卒業した。
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