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第12話

先日の診断で体には精神的ショックによりホルモンバランスが乱れてしまった。 気付いた時には発情期が半年来なくなっていた。 (もうΩではないのではなくなった?) そんなある日、ひどい発情期が来た。 昨夜から体が熱いとは思っていた。 最初は風邪だと思っていた。 しかし、無意識にライアンの服をかき集め、自分の周りに敷き詰めていた。 ライアンの服に囲まれて寝ていたからか、朝になると、昨夜以上に体が熱を持っていた。 そして、下半身が濡れていた。 下半身に手を伸ばしてみると、後孔がびしょびしょに濡れていた。 今までここまで濡れたことはなかった。 自分で慰めようと、後孔に指を二本入れ、形を変え、天を仰いでいる中心をゆっくり扱く。 気持ちいいけど、何か足りない。 「あっ…イクぅ…っ!!」 体をびくつかせて白濁を放出する。 一度出したのに、体の熱が治まりそうにない。 体の奥深くが疼き、もっとと快感を欲している。 「フゥーっフゥーっ」 熱い吐息を後ろから感じ、振り返ると、ライアンが辛うじて理性を保った状態でそこにいた。 「ミケ…発情…期が…来たの…か?」 「えぇ。…助けてください」 「いい…のか?」 「お願いします。体が疼いて堪りません」 縋るようにライアンにしだれかかると、顎をクイと掬い上げられ、厚く柔らかい唇を重ねられた。 何度も角度を変えて舌を絡める。 鼻で息をしているけど、取り込む酸素の量が足りない。 だんだん頭がボォーっとしてきた。 「本当にこのまましてしまっても構わないのだな?途中で止められないぞ?」 「構いません。番にさえならなければいいのだから、体を重ねるだけなら大丈夫なはずです」 ミケの了解を得たライアンは、ベッドにミケを仰向けに押し付けると、服を引きちぎった。 既に理性はどこかへ行ってしまった後だった。 ガブガブと歯を立てるライアン。 一年の時にレオポルドに同じことをされ、あんなに恐怖したにもかかわらず、ライアンにされていると思うだけで体の奥が疼く。 股の間にライアンの右足が割り込んでいる。 太ももに股間をこすり付けるように動かす。 堪らない快感が背筋を駆け上がった。 それだけでイってしまいそうだったが、何とか堪えた。 下半身は触らずともびしょびしょに濡れているのは明白だった。 パジャマから下着まで全てが濡れてしまって、肌に張り付いてきて気持ち悪かった。 それを察したのか、ライアンは下半身を包んでいる物を一気に脱がせた。 びしょびしょに濡れているので、そこまで冷たくない空気でもひんやりと感じる。 一度吐き出して少し萎えていた中心も完全に天を仰いでいた。 ライアンは中心に触れることなく、後孔に真っ先に指を這わせた。 どんどん中から溢れてきているのでローションの類は必要ない。 簡単に指が一本入った。 グリグリと中を押し広げる。 今のミケには全然足りない。 「ライアン、お願いです。もっと大きいのください」 目元を赤く染め上げ、潤ませたミケを見たライアンはすぐに自分の服を脱いだ。 ライアンの中心はライオン族らしく猛々しく、雄々しい物だった。 さすがに怖くなったが、それとは裏腹にこれが入ると思うだけで、さらに体の奥がジュンとし、後孔から新しい愛液が流れ出てきた。 避妊具を付けずに押し入ってこようとする。 さすがに発情期が来ているのに避妊具を付けないのはまずい。 「ライアンっ!避妊具を付けてくださいっ!」 以前殴って理性を取り戻したことがあるから、今回も…と思い殴ってみたが、今回は全く戻ってこなかった。 ドンドンと胸を叩いてみたり、押してみたりしたけど、ビクともしない。 そんな中、ライアンは後孔に自分の猛々しい中心を押し当て、ずぶりと押し入れてくる。 びしょびしょに濡れていても、後孔がギチギチしている。 (く、苦しい…) ゆっくりと動き始めた。 まるで内臓が引っ張り出されるような感覚に陥る。 しかし、その感覚も最初だけで、しばらくすると奥のさらに奥まで届いていてすごく気持ちいい。 ついギュッと後孔を締めてしまった。 「くっ…!」 ライアンが苦しそうな声を上げた。 獰猛な肉食獣らしく目がギラギラしていて、今からでも食べられてしまいそうな錯覚を感じる。 と、ライアンが首筋に顔を埋めてきた。 ザラザラと舌が首筋を這う。 それだけでも十分気持ちいい。 舐めているかと思うと、急にガブリと噛んでくる。 ガブガブと噛んだかと思っていると、また舐め始める。 気付けば全身ライアンの歯形でいっぱいだった。 首筋、肩、胸、脇腹、お腹、内腿、ふくらはぎ…。 まるで、お前は俺の物だと言わんばかりに。 愛されていると感じた。 胸がいっぱいになっていると、ゴールが目の前にやって来た。 「ライアン、もうイっちゃいます…」 「俺もイク…」 ガンガンと腰を打ち付けてくる。 本当にもうすぐライアンの物が中に出されてしまう。 今の状況で中に出されてしまうと確実に妊娠してしまう。 そうなると、学校は退学になる。 それは規則として決まっている。 例外は認められない。 (古本屋の主人、こんな形で期待を裏切ることになってごめんなさい。退学でもいいから愛するライアンの子供が欲しいんです) そう思った次の瞬間、ミケは絶頂を迎えた。 絶頂を迎えると共に後孔を締めたせいで、ライアンも少し遅れて絶頂を迎えた。 中でライアンの白濁がドクドクと出されている。 温かさが心地いい。 そのままミケは意識を失った。 ミケが意識を取り戻したのは、その日の夕方だった。 「ミケ、ようやく気付いたか」 声のする方を見ると、水を持ったライアンがそこにいた。 「すまない。我を忘れて快楽に溺れてしまった」 「構いません。それに流されたのは僕の意志でもあるので、ライアン一人が悪いわけではないです」 「しかし、発情期なのに避妊具を付けずに交尾を行ってしまった…」 「あぁ…そのことは気にしないでください。それも僕は同意の上です」 「だが、もし妊娠でもしていたら、この学園にはいられない」 「えぇ、そうですね。ですが、それでもいいと思ったんです」 「どういうことだ?別れるということか?」 「そうじゃありません。退学になってしまってもいいから、ライアン、あなたの子供が欲しかったんです」 「それは今じゃなくてもいいだろう?」 「いえ、今じゃないとダメなんです」 「なぜだ?」 「お願いです。僕と番になってください」 「ミケっ!俺に貴殿を殺せというのか?」 「そうじゃないんです。最後まで聞いてください」 「すまない…。それで、どういうことなのか全部教えてくれ」 「最近の論文発表だったんですが、一度でも妊娠すれば、番になっても死なずに済むみたいなんです。何例か症例もあるみたいで…。本当はこの学園で勉強をしていたいです。高度な学問を知ることはとても楽しいですし、有意義な時間です。それをなくしてまでも、次がいつ来るか分からない発情期だから、今どうしても妊娠したかった。ずっとあなたの隣にいたいから」 衝撃的な内容だった。 一度でも妊娠すれば番になっても死なずに済む? しかし、何例かある程度の情報はエビデンスが弱い。 それでも信じているミケ。 藁をもつかむ思いなのだろう。 それだけ自分を欲してくれている。 それだけでライアンの胸はいっぱいになった。 しかし、ライアンには覚悟がなかった。 番うということは、ミケとお腹の子を守るということ。 それが今の自分にできるかと自問自答するが、答えは(いな)。 今は学生であるし、それだけの権力を持ち合わせていなかった。 「あまりに唐突な話で驚いたが、それは確かな情報なのだろうか?」 「えぇ、今月の医学雑誌に載っていますよ。図書室に置いてありました」 「後で確認しに行ってこよう。ミケは今日はゆっくり休むといい。無理をさせてしまったからな」 「すみません」 ライアンは部屋から出て行った。 そして、その日から一週間、例の部屋に移動した。 あの日と同様に発情期の終わったミケがライアンを迎えに行ったのはいうまでもない。

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