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第13話
心地いい暖かさと頭を撫でる感触を感じ、意識が徐々に戻り始める。
「奏?おはよう」
「…、ふぇ?あれ?なんで…、柊木く…」
そこまで言いかけて、眠ってしまう直前の記憶が蘇ってきた。
「わあっ!?ぼ、僕っ、柊木くんと…」
「今思い出したんだ?可愛かったよ、奏」
「こ、この変態!鬼畜!無理やりヤりやがって!」
「無理やり?俺、お願いされたんだけど?」
「するわけっ!…、いや…、した…」
何度も、欲しいだの動いてだの、懇願したことを思い出した。
顔に熱が集まる。
「良かった。ちゃんと記憶はあるんだね」
「そ、その、今何時?」
「うん?朝だよ。7時」
「朝!?やっべ、連絡っ」
「俺がしておいたよ。昨日の時点で、多分これは朝まで起きなさそうだと思ったから」
「そ、そっか」
それから無言が続く。
初めてセックスした後のカップルもこんな気まずい感じになるんだろうか?
って、カップルじゃねぇ!!!
「ふふ、1人で百面相してる」
「ち、ちげーよ!」
「はぁ、可愛いなぁ。このまま、家に帰らなければいいのに」
「は?」
「俺の部屋で一生、一緒にいようよ」
「やだ」
「不機嫌そうな奏も可愛いなぁ。昨日、セックスしたからかな?より一層可愛く見えるよ」
「見えなくていいわ!」
ふいっとそっぽを向く。
いいよな、挿れる側は!
こっちは男としての尊厳を奪われたみたいでなんか悔しいんだよ。
童貞より先に処女卒業なんて、親にどんな顔すればいいんだ…
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