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第25話

連れてこられた先は、空き教室だった。 「こんなところに教室あったんだな~」 なんて、暢気に言っていると、繋いでいた手をすごい力で引かれ、床に転げ込んだ。 「うわあっ!?い…、たくない…」 転げ込んだ場所には、用意周到、マットが敷かれていた。 てか、なんでマットが… 「びっくりするじゃん、何すんだよ!!」 「何すんだよって…、こっちのセリフじゃん」 「はあ?」 「キスした…」 「キ…、ってあれは事故じゃん!」 未だに僕を見下ろして突っ立っている柊木くんを見上げる。 「お、おい、泣くことないだろ?」 「だって…、奏がっ…」 「あーもう!分かったよ、絶対しないから泣くなってば」 泣きたいのはこっちだ。 「約束だからね。嘘ついたら…、針千本飲んでね?」 「あ、ああ。男に二言はない」 やべぇ…、めちゃくちゃ怖い約束しちゃった~ もし、そうなる未来があるとしたら一思いに殺してもらったほうが良い。 「ひとまず…、おしおき、ね」 「え?」 今回は無罪放免じゃないの…? 柊木くんに押し倒され、流れる視界を見ながら、そんなことを考えた。

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