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第24話

「いいなー、俺も奏って呼びたいなー」 「蒲田はだめ」 「なんで柊木が決めるんだよ。下の名前のほうが親しみやすくね?友達増えそう」 「友達が…、増える…」 そう言われると、下の名前で呼んでもらったほうがいいのだろうか… 「かなちゃんとかどう?」 「絶対ヤダ」 「えー、可愛いじゃん!かなちゃーん」 「最悪」 「照れなくていいって~」 「もう、蒲田嫌い…」 「ああ、嘘!ごめんって、梁瀬」 「で、奏、ちょっと一緒に来て貰っていい?」 「え、あ、うん」 とりあえず、蒲田とチューと、奏呼びは避けられたけど…、肝心な柊木くんはやっぱり怒ってる。 これ以上怒らせないように、呼び出しに従うことにした。 自分の前を歩く柊木くんの後ろを追う。 背が高いから、歩くのも早い。 手、掴んだら振り払われるかな… 「ねえ、柊木くん」 「…」 「ねえってば!」 「…」 話しかけてるのに、柊木くんは止まってくれない。 っていうか、マジで歩くの速いんだって。 僕は、柊木くんの手を掴んだ。 「何?」 「あ、歩くの速かったから…、その…、手、繋いでてもいい?」 「ここ、学校だけど?」 「…、そ…だよね」 勇気を振り絞って掴んだ手を離す。 「あー、もう」 「な、何!?」 突然、声を荒げた柊木くんに驚く。 「こっちはこんなに怒ってるのに、いちいち可愛いわけ?」 「は、はあ?」 わけが分からず、ポカンとしていると、柊木くんは僕の手を握りなおして、スタスタと歩き始めた。 さっきよりも歩調が緩くなっているから、ついて行きやすい。

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