33 / 74
第33話
放課後、蒲田が言ったとおり、HRで文化祭での出し物を決めることになった。
「じゃあ、まず、展示・劇・売店からどれをするか、多数決で決めようか」
蒲田は、進行役に手馴れているようで、サクサクと決めていく。
たぶん、内心、早く部活に行きたいだけだと思うけど。
「手上げるの、1人1回だからね。まず、展示がいい人」
多数決の結果、売店になった。
僕的には、展示とかをサッと作って、文化祭は回るだけでもよかったんだけど…、劇よりはマシか
じゃんけんで負けて、キャストになったら、僕の命はない。
「次、具体的に何するか決めようか。相談タイムいる?」
「いりまーす」
「じゃあ、5分間、周りの人と相談したり、考えたりするタイムね」
蒲田の一言で、クラスの皆がざわざわと話し始める。
もちろん、僕は1人で考えているフリをする。
そもそも、席替えの運が悪かった。
僕の周りには、陽キャというか、パリピというか、そういう派手な子しかいない。
「はい、相談タイム終了!挙手制で発表していこう。意見ある人、手上げて」
蒲田がそう言うと、派手な子達が次々と手を上げる。
うちのクラスは行事に前向きな子が多くて、助かる~って蒲田が言ってた。
熱い論争の末、「柊木くんがいるなら執事喫茶で稼ごう」という話で終息した。
女子はメイドということで、派手な子達はかなりはしゃいでいる。
「うーん、流れで調理と配膳の役割も決めちゃうか~。じゃあ、調理したい人~」
僕は、数人が手を上げるのを確認して、手を上げる。
すると、斜め後ろがざわつき始めた。
気になって振り返ると、柊木くんも手を上げていた。
「おいおい、話の流れ、聞いてたか~、柊木~!お前は接客しろ」
蒲田が声をかける。
「…、俺にも選択権あるでしょ」
「いや、どう考えてもお前は接客だろ!!」
そうだそうだ、と周りが騒ぐ。僕もその通りだと思う。
「うるさいなぁ…、奏が調理なら、俺も調理やる」
「…」
柊木くんの一言に、クラス全員の目が僕に向く。
「え…、僕?」
「まあ、梁瀬くんだったら配膳でも…」
「執事って言われると…、あまり似合わないけど」
「柊木くんがホールやるなら…、ねぇ」
「ってことで…、梁瀬、配膳に回ってくれ」
「えっ、や、やだ…、僕に接客はできな…」
「人生、何事も経験だろ?クラスのためにも頼むよ~」
「うぅ…」
「もし、柊木くんが調理になって売上下がったら、一生恨むから…」
隣の席の女子にボソっと言われ、背筋が凍る。
そ、そうだ、これで本当に柊木くんが調理になったら僕のせいだ…
「や、やります…、グスッ…」
半泣きで手を上げる。
「梁瀬…、マジごめん。サンキューな。ってことで、いいよな、柊木」
「はあ、奏がいいなら、俺もそっちやる」
ともだちにシェアしよう!