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第33話

放課後、蒲田が言ったとおり、HRで文化祭での出し物を決めることになった。 「じゃあ、まず、展示・劇・売店からどれをするか、多数決で決めようか」 蒲田は、進行役に手馴れているようで、サクサクと決めていく。 たぶん、内心、早く部活に行きたいだけだと思うけど。 「手上げるの、1人1回だからね。まず、展示がいい人」 多数決の結果、売店になった。 僕的には、展示とかをサッと作って、文化祭は回るだけでもよかったんだけど…、劇よりはマシか じゃんけんで負けて、キャストになったら、僕の命はない。 「次、具体的に何するか決めようか。相談タイムいる?」 「いりまーす」 「じゃあ、5分間、周りの人と相談したり、考えたりするタイムね」 蒲田の一言で、クラスの皆がざわざわと話し始める。 もちろん、僕は1人で考えているフリをする。 そもそも、席替えの運が悪かった。 僕の周りには、陽キャというか、パリピというか、そういう派手な子しかいない。 「はい、相談タイム終了!挙手制で発表していこう。意見ある人、手上げて」 蒲田がそう言うと、派手な子達が次々と手を上げる。 うちのクラスは行事に前向きな子が多くて、助かる~って蒲田が言ってた。 熱い論争の末、「柊木くんがいるなら執事喫茶で稼ごう」という話で終息した。 女子はメイドということで、派手な子達はかなりはしゃいでいる。 「うーん、流れで調理と配膳の役割も決めちゃうか~。じゃあ、調理したい人~」 僕は、数人が手を上げるのを確認して、手を上げる。 すると、斜め後ろがざわつき始めた。 気になって振り返ると、柊木くんも手を上げていた。 「おいおい、話の流れ、聞いてたか~、柊木~!お前は接客しろ」 蒲田が声をかける。 「…、俺にも選択権あるでしょ」 「いや、どう考えてもお前は接客だろ!!」 そうだそうだ、と周りが騒ぐ。僕もその通りだと思う。 「うるさいなぁ…、奏が調理なら、俺も調理やる」 「…」 柊木くんの一言に、クラス全員の目が僕に向く。 「え…、僕?」 「まあ、梁瀬くんだったら配膳でも…」 「執事って言われると…、あまり似合わないけど」 「柊木くんがホールやるなら…、ねぇ」 「ってことで…、梁瀬、配膳に回ってくれ」 「えっ、や、やだ…、僕に接客はできな…」 「人生、何事も経験だろ?クラスのためにも頼むよ~」 「うぅ…」 「もし、柊木くんが調理になって売上下がったら、一生恨むから…」 隣の席の女子にボソっと言われ、背筋が凍る。 そ、そうだ、これで本当に柊木くんが調理になったら僕のせいだ… 「や、やります…、グスッ…」 半泣きで手を上げる。 「梁瀬…、マジごめん。サンキューな。ってことで、いいよな、柊木」 「はあ、奏がいいなら、俺もそっちやる」

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