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第34話

ああ…、なんて日だ… 僕が向いてない職業No.1は接客だねって言われるくらい、僕は人と接するのが苦手だ。 そして、数日後。 「ねぇー、蒲田ー!」 「え?なになに?」 「衣装、試作品できたらしいよ」 「マジ!?すっげー…、じゃあ、HRで試着しよっか」 「期待しといてよね~。作ったのアタシじゃないけど」 そんなやりとりをボーっと見る。 あんな怖そうな女子と喋れるなんて蒲田って、やっぱすごい。 「で、誰が試着する?」 HR、担任からの許可も経て、試着会が開催された。 「執事1着とメイド1着しか作ってないんですけど…」 「じゃあ、執事は柊木が着るとして…、メイドのほうは…、うん、全員着たいに決まってるよね…」 「えっと、すみません、今回、ちょっと大きめに作っちゃって…、たぶん身長160cm以上ある人のほうが…」 「じゃあ、奏でいいじゃん」 「…、ファッ!?」 な、なんで僕!? 「あー…、梁瀬だったら女子も文句無いよね?」 「まあ、男子が着るなら…」 「柊木くん争いもないよね」 「なんなら、ちょっと見てみたいし…」 「ま、待って!どう考えてもおかしいじゃん!」 「え?なんで?満場一致だぜ?」 「柊木くんはともかく、蒲田まで変なこと言わないでよ…」 「さ、着替えて来いって。覗かないから、な」 「…」 な、じゃねぇわ。 とは言えないから、唇を噛み締めて、衣装を持って更衣室に向かう。 って言うか、更衣室まで行く必要あるの? 「奏、待って、俺も行く」 同じく衣装を持った柊木くんが追いかけてきた。 っていうか、元はといえば彼のせいで僕がメイド服を着るはめになったんじゃん… 「なんで僕を指名したの…」 「奏が着たところを見たかったから」 「なっ、それだけ!?」 「それだけ、じゃないよ。すごく重要」 「僕が着ても女の子みたいに可愛くなるわけじゃないし、蒲田みたいに面白くなるわけじゃないし…、着るだけ損じゃん」 「どうして?似合うと思うよ?」 「それ、秋臣しか思ってないと思うよ…」 どうして僕は、こいつの好奇心に付き合って、クラスの人から冷たい目で見られなきゃいけないんだ…

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