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第35話

更衣室に着き、メイド服を広げてみると、つくりがかなり複雑だった。 誰でも作れるわけじゃないということは分かるけど、女子って凄いなぁ… 「奏、いつまで眺めてるの?」 「え?って、秋臣、着替えるの早っ!?」 「部活で慣れてるから」 「って…、そっち、めちゃくちゃカッコいい…、ず、ずるい!僕もそっち着たい!!」 「奏はそっちのほうが似合うと思うよ?」 「なっ!?ムカつく…、メイド服なんか絶対似合わないから!見てろよ!」 「じっくり見てるから大丈夫」 「み、見るな!」 「どっちだよ」 そう言いつつも柊木くんはじっと見てくる。 ただでさえ女装なんて恥ずかしいのに、こんなに見られると顔から火が出そう… 「ほら!着替えた!」 なんとか着替えて柊木くんに声をかける。 「うん、可愛い」 「や、やめろ!!」 「後ろ、リボン結んであげる」 「リボン?」 「そ。首のところ、リボンついてるから」 柊木くんが後ろに回り、首についているらしいリボンをシュルシュルと結んでいる。 「う、うぅ…、なんか擽ったい」 「ふふ、奏、敏感だもんね」 「なんか嫌な表現にするな」 「だって、ほら」 「ひゃうっ…、ばっ、やめてってば!」 スルスルっと首をなでられ、変な声が漏れる。 「可愛いなぁ。ねえ、このままサボろうか?」 「まだ皆に見せて無いじゃん」 「奏はこんなエッチな格好、見られたいの?」 「エッ…、チって…」 「だって見て、これ、おしり見えちゃうよ?」 「ふぁっ…」 スルリと太ももからおしりまで一撫でされる。 「やだっ、これ以上触られたらっ」 「触られたら?」 「勃っちゃ…」 「おーい!!柊木ー!梁瀬ー!」 突然、更衣室のドアを開け、蒲田が入ってくる。 僕は大慌てで柊木くんから離れた。

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