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第42話

ふかふかの毛布、気持ちいい… あれ?毛布?… そんな違和感を覚え、目を覚ますと、ふかふかのマットと毛布とはミスマッチな教室の風景が広がっていた。 「え、あれ??ここどこ…」 「あ、奏、おきた?」 「え…、あ…」 思い出した… コイツに散々嬲られて、寝落ちしたんだった。 「お前…、マジでもう学校でこういうことするの、やめろ」 「今回も、前回も、元はといえば奏のせいでしょ?」 「はあ?秋臣が勝手に怒って、無茶苦茶しやがっただけだろ」 「ふーん…、"勝手に"ね。奏には分かんないだろうね、好きな子が他のヤツとイチャイチャしてた時の俺の気持ちなんて」 「イチャイチャなんて…」 そこでふと、秋臣が女の子たちに囲まれてたところを思い出した。 まあ、怒りまではいかないけど、正直、面白くはない。 ぷいっとそっぽを向いてしまった秋臣におずおずと近づき、服の裾をつかむ。 「ごめん、僕、無神経だった」 「…」 「今度からは気をつけるから…、ごめん」 「はぁ…」 「あ、秋臣?本当に、もう、しないから…、っうわ!?」 強い力で抱きしめられて、驚く。 っていうか、なんか、筋肉量がぜんぜん違うんだけど… 「可愛い…、罪だ、こんな可愛さは…、ギルティ」 「は?何言ってるの?」 「ああ、許したくないけど、許したい…、どうしてこんな生き物が生まれてしまったんだ」 「お、お前、マジで大丈夫か?」 「本当に、どこかに閉じ込めて独り占めしたくなっちゃうね」 「…、こっわ。離れろ、犯罪者予備軍」 「それに…、すっごくいいにおい」 「か、嗅ぐなー!やめろっ…、って、秋臣、なんでジャージなの?」 気づけば僕もジャージになってるけど。 「ん?俺はさっきまで部活してたから」 「あ、あの後、部活行ったのかよ!?」 「うん。どこかの蒲田が、早く来ないと校内中探し回るって。さすがに、ここがバレるのはまずいから」 「体力バケモノだな」 「うん。もう3ラウンドはいけるよ?」 「いかねぇよ!」 突っ込んだところで、下校の校内放送が流れる。 「ほ、ほら、早く帰ろう」 「そうだね。ここがバレるのはまずい」 「ってか、先生とか見回りしてるし、バレてるだろ…」 「ああ、学校側の許可は取ってるんだ。他の生徒にバレるのがやっかいだから」 「…、そ、そうか」 よくわからない根回しがされている様だった。 突っ込まないことにしておこう。

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