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魔女とお茶飲み友達になりました
舞踏会の後は慣れないことに疲れていたせいか、帰宅して湯あみして夜着を着たらソッコーベッドにバタンキューしていた。アルバートに戻ったのも気づかないくらいだった。
セシルもさほど遅くならないうちに帰宅したようだ。
翌日、また前触れもなくオレの部屋に現れた魔女にお茶を要求され、二人でお茶会をするはめになっている。
お茶の用意をしてくれたメイドはいささか緊張していたが、魔女が可愛らしい女の子の姿をしていたことで驚いたようだ。
魔女は甘いものがお好みらしく、紅茶に砂糖壺からどばどば砂糖をつぎ込んだ。
うえー。
あっまいケーキや焼き菓子と一緒に飲むのに、ジュースより甘そうだ。
見ているだけで気持ちが悪くなる。
内心でこっそり舌を出していると、
「どうだった?舞踏会。
いい男キャラいた?」
キャラ言うな。
「まぁ見てたから知ってるんだけど。ずいぶんイケメンに迫られてたじゃない。王子様は可愛いし」
何個目だか数えるのも面倒になるほどのマカロンに手を伸ばしながら魔女はニヤニヤしている。
見てたのかよ。
まあ魔女ならいくらでもオレのこと監視する手段なんかあるだろうな。
使い魔飛ばすとか。
「良い男もクソもねーよ……外見が美少女になったところでオレの恋愛対象女の子なのに」
はぁ、と魔女はため息をつく。
「あのね……そんなんじゃいつまでも戻れないわよ?」
なんなのこの、オレがわがまま言ってるみたいな言い方……。
腹立つな。
まぁ最初会った時以外は意外とフツーの女の子みたいだけど、機嫌損ねたら怖いから言わないけど。
「腹立つって言ったって、そういう条件にアルバートも同意したでしょう?」
あ、読まれてた。
表情はニコニコしたままだったからよかった。
「そういや条件曖昧じゃね?
告白されたら、とか明確にしてほしいんだけど」
魔女からは「乙女ゲームの主人公になってほしい」と言われただけだ。
不明瞭すぎる。
「んーそうね」
魔女は唇に指を当てて考え込んだ。
可愛いなぁ。見た目だけは。
「決めた」
ぽん、と魔女はこぶしで手を打った。
「両想いになったら。これにしましょう」
「は?ちょ、待て」
オレの恋愛対象女の子なんですけど?
リディアはめちゃくちゃ美少女だから、好きになられることはあるだろうが好きになることはない。絶対に。
詰んでるじゃねーか。
「障害を乗り越えてこそ生まれる恋愛ってあると思うのよね……」
「いいこと風に言ってるんじゃねぇ!」
「だいたい乙女ゲームの最後ってそうだし……。簡単にいったらつまらないじゃない」
「だから乙女ゲーしたことないから知らねって」
説得を試みたが、結局条件を変えることはできなかった。
オレ詰んだ。
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