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約束を取り付けられました
日中はとにかくすることがない。
外を出歩いて知り合いに見られるのも嫌だし(十中八九バレないのは分かっているが)、そうすると自然と家に引きこもることになる。
家でできることとなると限られてくる。普段ならしたくもないことだが、自然と読書や勉強に費やす時間が増え、少しは伯爵子息としてふさわしくなると、親父を喜ばせていた。
今日もおとなしく読みたくもない歴史書を開いていたら、急に親父に呼びつけられた。
「んー?何?」
おとなしく親父の部屋にはせ参じると、一通の手紙を突き出された。
コンフェラートの封蝋入り。
「リディア宛だ」
読め、とばかりにペーパーナイフもずいっと突き出される。
オレはおとなしく受け取ると、ソファに腰かけた。テーブルに手紙を置いて、丁寧にペーパーナイフで封を破る。
先日は楽しい時間をありがとう。
近いうちに屋敷にお誘いしたいので、都合のいい日程を教えてください。仕事の調整をします。
おおむねこのようなことが書かれていた。
「お前ブードゥアニ伯爵と交流があったのか?」
「いや、オレは親しくないけど。この前舞踏会で会ってリディアのことは気に入ったらしいな」
こっそりポケットにしまい込む。あとでこっそり丁重に断りの手紙を出そう。
「何が書いてあった?」
「いや、ただ先日の舞踏会楽しかったですって」
嘘は言っていない。
だが親父も長年オレの親父をやっていない。
「見せてみろ」
「見るほどでは……」
「見せなさい」
「はい……」
進呈した手紙を呼んだ親父は、家長として命令を下した。
「すぐお受けする返事を送れ。出す前に私に見せるように」
「はい……」
くっそー。
権力に弱い親父め。
身分としては同等だけど、コンフェラートの会社の業績うなぎのぼりだから仲良くさせて損はないと思ったようだ。
だからさ、女バージョンで仲良くなったって仕方ないと思うんだがな?
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