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閑話 男気番長は抱かれたい

毎日隣にいるだけで幸せ。 抱き合ってキスをするだけで愛おしい。 笑っていれば嬉しいし、泣いていれば悲しい。 一緒にいない時でもふとした時に相手を思い浮かべる、そんな甘く穏やかな結婚生活。 ──なんて、まだまだ若い身体を持つ男二人が、熟年夫婦のような添い遂げるだけの日々を送っている訳がない。 いかな天然男とツンデレ男と言え、情欲は沸き立ち、ふしだらな夜を繰り返す。 淫靡な時間を求め合い、恋人時代から幾度となく身体を重ねてきた。 胸の内まで曝け出し合う相手で、同じ男。 好きな相手に欲情することなんて男なら当然、結婚までしているからには遠慮なんてない。 初夜でもないので羞恥もほとんどない。 そう考えているシャルはさあ寝ようかと明かりを消して、二人で眠るには広いベッドにもそもそと乗り上げるアゼルをふむと見つめる。 魔界の明るい月明かりに照らされた室内は、大方のものがよく見える。 ベッドサイドに立ったままでなかなか隣にやってこない自分を、黒い瞳がこないのか、と待ちわびていた。 うん、かわいい。 大多数がそうは思わないどこをどうしても男であるアゼルを、自然可愛がりつつ、ベッドに上がる。 そうしてシャルはおもむろに上衣のボタンを外し、いつもの調子で提案した。 「アゼル、しよう」 「ぅえっ」 プチプチとボタンを外しつつなんの話のモーションもなく放たれた言葉に、予想だにしていなかったアゼルは動揺を隠しきれない。 そんなことを気にした様子もなく、シャルはバッと上衣を脱ぎ捨て、手早く軽く畳んでベッドの端に置いた。こいつ、できる。 「練習したい。練習は日々の積み重ねだ、一度にして習得ならずだろう?」 ギシギシとベッドを鳴らして四つん這いでアゼルに詰め寄るシャルを、もしこの場にリューオがいれば「部活かよッ!」と後頭部をスパンと叩いてくれただろう。 だがツッコミ勇者はここにはいない。 予想していなかったから驚いたが、アゼルも満更でもなく上裸でのしかかってくる嫁に抵抗もしない。 想いが通じた初夜のあの恥じらいはどこへやら、慣れたシャルは性行為になんら躊躇しなくなっている。 して欲しいことは、この様にわかりやすくストレートに求めてくる。 いつも態度と空気でふわっと事をなしてきたアゼルより、正直ずっと男らしい男だ。 格好良すぎていつも「好き!抱かせて!」となってしまう。 種族関係なく誰もが美しいと感じる、わかりやすく派手な美形であるアゼルより、男臭い容姿であるシャル。 彼を抱かれたいではなく抱きたいと思うあたりが、溺愛フィルターの調子は良好らしい。 元々の骨ばった無骨な身体に、涙ぐましいトレーニングの積み重ねによって、身長に対して細身ではあるが靭やかな筋肉を手に入れた彼だ。 本人のコンプレックスである通り、どう首をひねっても可愛くはない。 高位の魔族が犇めく魔王城では、すこぶるとは言えないものの、顔立ちも精悍に整っている。 しかし美しいと形容するより、端正と言うべきだ。 中身はぼんやりとしたハムスターだが、見た目は鯱だろう。 だがしかし、アゼルにとっては可愛いの代名詞として、不動に君臨しているのである。 ゴソゴソとアゼルの下衣を腰で引き止めている紐を解き、中から陰茎を取り出すものだから、魔王のヤル気スイッチはカチ、とオンになる。 シャルが口での奉仕を練習すると言い出してから、二度目のこれだ。 アゼルは触れたい気持ちを我慢しない。 とりあえず押し倒そうと、自分の中心に顔を寄せる男の髪をクシャリと握った。 「だめだぞアゼル。俺の練習なんだから、今日は動かないでくれ」 「!?れ、練習ってお前、こないだシただろ?」 「コツを掴んだから復習する」 しかし、何事も真面目なシャルは、触れたがるアゼルに否を唱えた。 そんな馬鹿なことがあるわけない。 人の大事なものを握りながら何を言っているんだコイツは。生殺しか。

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