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第178話

「ンッん、っ、ひっ、うぁ……っ!」 俺は今までなかった角からの快感に悶え、何度も執拗に触れられたせいで、ついにビクッ、と背中を丸める。 太ももの間からドロリと溢れる白濁液。 のぼせ上がっていた頭がいくらか冷静になって、俺はワシワシ髪を洗われながら両手で顔を覆った。 ううう、か、髪洗われて、イッた……! なのに全然満足できてないのが、もうなんだか手遅れだ……! 「はぁ……っ、ん、……っ」 一度達したおかげで毒が発散され、少し余裕ができて掌の中に抑えた吐息を吐き出す。 そんな俺にピタッとアゼルの手が止まったが、今の俺は束の間の無敵タイムというやつだ。 全く気にならない。 あぁくそ、少し冷静になったのが余計にだめだ。刺激が足りない。 なのに俺ばっかり悶えて勝ち目がない。 ザバッ 「うあッ」 膝を抱えてもじもじしていると、突然洗うのをやめたアゼルが後ろからシャワーでお湯をかけてきた。 大きな手が丁寧なのにどこか急いたように泡を洗い流していくたび、身を捩って篭った声を漏らす。 上からかけられるシャワーの湯のおかげで粗相の残滓が消えて、俺はこっそり安堵した。 ぷるぷると水気を振って落とす。 不意に角を指でかけて後ろに引っ張られ、ガリッと噛みつかれた。 「ンッ、……っ?」 「!」 なにも言わないでそんなことをされて、変に思った俺は後ろを振り向こうとする。 が、アゼルは俺が振り向く前にパッと離れて踵を返し、一人ペタペタとバスタブに向かってしまう。 んん、なにか変だな? ついさっきまで俺をからかって遊んでいたのに、角を弄り始めてから余裕がなかったので理由はわからない。 湯船に首まで浸かって眉間にシワを寄せ、真剣な顔で睨んでいるアゼル。 俺はキョトンと首を傾げ、そろりと尋ねる。 「アゼル、もう、触らないのか?」 「っ、っ、」バシャッ! 本当はもっと沢山触ってほしいし触りたいがそれは禁止なので、尋ねる時しゅんとしてしまった。 するとアゼルはお湯にバシャンッ!と顔を浸ける。 そしてブクブクとあぶくを浮かばせ、湯船になにか叫び始めた。どうした。発作か。 さっぱりと綺麗になった俺は、ドクドクと物足りなそうに疼く体を押し込め立ち上がり、ペタペタとバスタブに近寄っていった。 ヘリに手をかけてもブクブクしているアゼルは帰ってこない。 ヨイショと湯船に入って隣に座ると、より一層沈んでしまった。なんでだ。というか凄いな肺活量。 温かいお湯に揺られて、体が温まる。 でもそんなのなくとも熱い。 モゾモゾと浴槽の中で足の先をすり合わせて、沸き起こるゾクゾクとした感覚を「うぅ」と呻いて奥に溜める。 そーっと浴槽の底に指を走らせ、アゼルの踵を突いてみた。 「っ!!!!」 ゴボっゴボっ 水中で喚いているようだが、まだ出てくる気はないらしい。 なんだか可愛らしくて、未だに発情中の俺はもっと構いたくなる。 だめかもしれない、俺は負けてしまうかもしれないぞ。

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