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第380話※

 慈しむような手つきでなでられると、愛しさが高まる。  舐めるのをやめて首を伸ばし、シャルの唇にキスをすると、中に入っているものが擦れ、シャルはビクッと震えた。  体が小さいとこんなふうに抱きながらキスをする時、いつもよりすこし距離がある。  一刻も早くキスがしたい衝動にかられた時は、その程度でも大問題だ。 「ん、ふふ、やっぱり新鮮だ。俺が一番好きなのはいつものアゼルだが、その姿だと可愛くて仕方ない。実際未成年だったら、俺は裁判沙汰だけどな」 「あぁ? 実際未成年で裁判だったら、俺は毎日裁判沙汰じゃねぇか? 三十代なんて、ひよっこもいいとこだぜ」 「ぅ、っん……じゃああれだ。俺は実年齢で、お前は見た目で、一緒に裁判だ」 「まず裁判が、……まあ一緒ならいいか。……裁判デート……くっくっく……」 「うん? なんだって?」  キスをして話しながら軽くゆすると、シャルは時たま声を漏らす。  快感と熱の共有をしながらも、ただ抱き合いながらの会話を楽しむのが二人の空気感。  相変わらず真面目にとぼけたことを考えるものだから、シャルは二人で裁判をするんだと言い出した。  アゼルが王なのだから、そのくらいでそもそも裁判にするわけないのだが、一緒に裁判と聞いて言葉を改める。  よし、そうなったらそれを口実にデートに誘おう。我ながら天才的発想だ。  首をかしげるシャルは、この計画をわかってはいない。  アゼルはどうあがいても、シャルと一緒なら浮かれてしまう。 「っと、ぁっ」  浮かれたまま体を離し、シャルの体をひっくり返して、ドサッと押し倒す。  見た目はどうあれアゼルの力なら、足を掴んでそのままうつ伏せにさせることは容易だ。  魔王の怪力スキルは、こうしておおむね、成人男性である愛しの嫁を抱くために使われている。  そしてこれが正しい使い方だと思っている。当然だ。間違いなんてない。 「ふっ……ぁ…あっ……」  突然うつ伏せに体勢を変えられ混乱するシャルの腰を掴み、グッと抱え上げた。  それをそのまま自分のほうに引き寄せて、腿を掴み両腿をハの字に開く。  体内に突き入れた肉棒が襞と絡み合い、グチュッ、と卑猥な音が鳴った。 「ひっ…、あ、ぁ……っ」 「淫行で捕まるために、しっかりお前とエロいことしねぇとな? そうすると、裁判に呼ばれるかもしんねぇぜ。くく……まあ、仕方ねぇだろ? 仕方ねぇから、一緒に裁判へ行ってやる」 「さいば、? あ、ン、いきたい……のか? ッ、く……っ」  アゼルはシャルの不思議そうな声に返事を返さず、項にガリッと噛み付いて、甘い痛みを与えた。  掴んだ太ももの筋をなぞり、股関節のつっぱった皮膚までたどり着くと、強く引いて抽挿を始める。  わかりやすいごまかしだ。  素直に言うのは恥ずかしいのだから、大目に見て欲しい。 「ふ……シャル、お前、生きてるだけでも淫行罪だな……」 「ぁっ…、ぁっ…、な……なん……? それは冤罪、ン……ッ」  中の襞をかき分けて、弱いところをランダムにグチュッグチュッと突いてやった。  快感に流されやすいシャルは疑問を霧散させ、動きを合わせてくる。  それにかこつけて追求を逃れた。  中身は大人な魔王は策士なのだ。  後はもう目の前で色めかしく乱れる肢体を凝視しながら、一発で下半身にクる耳心地のいい声を、吐息すら逃さないよう聞き入るだけ。

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