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第381話※*
「あッ…、ぁあ…、…んッ……あぁ、ぁ……」
人間にしてはだいぶ体力のあるシャルだが、一度が濃厚な魔王相手では、限界も早くなるだろう。
流石にくたびれているのか、腕で上体を起こそうとしても力が入らず、ガクッと崩れ落ちる。
横たわる淫靡な体はじっとりと汗でしめやかに濡れ、引き締まった筋肉に覆われた背が、淫らに波打った。
──まったく……エロい教師だ。
悔しいくらい、煽られる。
今でも定期的な訓練を抜からないために剣だこができ、皮膚の厚くなった無骨な手。
それが白いシーツを掴んでか弱く震えているギャップに、ゾクゾクと視覚的興奮を煽られた。
あの指に牙を突き立てて熱い血潮をすすると、喉元から溶けそうな充足に犯される。
「くそ……ッ」
「ぁ、アゼル、ぁッ…う、奥、過ぎ……っ」
思い出しただけでゴクリと喉がなった。
ああくそ、我慢だ。
血を失っても自分の回復魔法じゃ治してやれない。
シャルのためならいくらでも我慢してやる。吸いたい、飲みたい、味わいたい。我慢だ。我慢する。
凶暴な欲求は飲み込んで激しく突き上げながら、腰を掴んでいた両手をぐうっと胸元まで押あげ、強く背骨を親指でなぞった。
「ひっ、ぅっあぁぁ……ッ」
すると甘い鳴き声と共にビクンッ、と大きく背をしならせて踊る、淫猥な肢体。
「はっ、お前だけだぜ。中かき混ぜられながら背骨えぐられて、イクような男……」
かわいい。最高にかわいい。
たったそれだけで軽く射精してしまったシャルに、お前は可愛さで俺を殺す気か、という気持ちが声色ににじみ出る。
アゼルにとって、こんなにいやらしくかわいい男は、他にいない。
いつまでたっても色眼鏡だと思っているが、アンケートをとってやってもいい。
シャル以外の男には微塵もそんな感情を抱かないが、シャルになら毎日湧き上がって、溢れて、枯れることがない。
それにそもそも、アゼルはこれまで、性的な興奮をあまり覚えてこなかった。
なので自分のセクシャリティが男と女どちらにあるのかは、やっぱりいまいちわからない。
吸血には催淫毒が含まれているのだから、本来は性欲発散と吸血欲求の両方を兼ねているのだろう。
しかし欲しくなればそのへんの動物の血を吸っていたので、動物が発情しているかどうかはどうでもよく、肉も美味しく食べていた。
自己処理はしていたが、それもメンタルに余裕がなくなれば無反応を極めていたのだ。
些細なことでもこんなに性感を煽られてしまう今の自分が、信じられない。
「ん、あっ、あ……っアゼル、ふ……っ」
「なんだよ、シャル」
切羽詰まった声を漏らされ、笑みが溢れる。
自分の返事がとんでもなく甘い響きを持っていて、少し恥ずかしい。
やっぱり自分の性対象は、シャルで決まりだ。
他にはピクリともしないくせに、シャルの中では簡単に質量を増す自分の息子を、褒めてやりたい。
わかってるじゃねぇか。
これを味わったら、これ以外なんて満足できない。
「アゼル、もっ……中、きもち、いい……っひ、…ひっ……っ」
発情しきったメスの声を、硬派で穏やかな、ともすれば聖域のような男が喉奥から絞り出すことの、背徳感たるや。
心臓が弾けそうなくらい燃え上がった。
根元の奥が痺れ、獰猛なオスの本能が煽られる。シャルはアゼルを煽る天才だ。
腰をぶつけるたびにパンッと破裂音が響く。
アゼルの顎から汗が散って、シャルの背中に落ちた。
シーツにこすれるシャルの起立からは、粘液が糸を引いている。
シャルも酷く感じているのだ。
アゼルに抱かれることを当然と受け入れ、自分が男であるだとか、男としての矜恃なんてへし折って、丸ごと愛し合おうとしてくれる。
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