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第449話

アゼルに恥ずかしさを知らしめようと言う意地の悪い仕返しの筈が、既に知られていた驚きのパターンだ。 思わず目を丸くしてしまった。 キャットは訳知り顔でうんうん頷き、ニコーっとタローを彷彿とさせる子犬のような笑顔を見せる。 「ご安心ください!魔王様はシャル様が大変に愛しくてらっしゃるので機会があればお話をしてくださるって言ったでしょう?そんな話から滲み出るモノがありますので、お察しフェイスで把握済みです!」 「くっ…!悔しいぞ…!結局俺ばっかり恥ずかしいじゃないかアゼルめ…!昨日はアンパンさんに喧嘩腰だった位甘えてきていたのにっ」 「え…!?魔王様はパンと戦うのですか?アンコは敵ですかっ?」 「いやいや、アンコは仲間だぞ。愛と勇気も友達だ」 「おおっ!愛と勇気は友達ですね!わかります!告白に役立ちそう……それもメモしておきます!」 アンパンさんに敵意丸出しな昨夜を話すと、それを真面目にメモをとるキャット。 俺はここにいないアゼルに完全敗北している事実を受け入れ仕返しを諦める事にした。 むむ……嫌がらせのお返しは置いても、たまには俺もアイツに恥ずかしい気持ちをさせたいんだけどな。最近アゼルはメンタル強度が上がって、俺に甘えるのもお手の物だ。 俺は前述の通り顔に出ないが意外と臆病なので、アゼルに好かれていたいし捨てられやしないかと不安にもなる。 それはまぁ仕方ないのだ。 どれだけ好きだと言われても、何度困難を乗り越えて抱き合っても、いつまでも際限なく愛されたいし愛したい。 今日のアゼルはきっととても疲れて帰ってくるから、甘さ補給がてら、俺もキャットを見習って好きな気持ちを沢山伝えてみようかな。 近頃足りてないだろ?俺の愛がイマイチ伝わってないと思う。キャットが行動に出なさすぎと言うと言う事は、アゼルにだって伝わってないわけだ。 そうして熱い決意を固めていると、メモを取っていたキャットが気合十分に顔を上げ、俺をじっと見つめた。 「シャル様!こっ、こここっ、ここっ!」 「コケコッコー?」 「はい!コケコッコーの練習相手になってください!……ン違うゥッ!」 「ええと、冗談だぞ」 「冗談ですか!?」 「本当はピヨピヨだ」 「ピヨコですかーッ!?」 どうしよう、とても楽しい。 俺は声を上げて笑ってしまった。 真剣なキャットを茶化してはいけないのに、顔を真っ赤にして真顔で恐らく〝告白の練習に付き合ってください〟と言おうとするので、ちょっと解そうと冗談を言ったら反応がよかったのでつい。 「あはは、ごめんな。お前があんまりかわいいから意地悪をしてしまった。告白だろう?ちゃんと練習相手になるとも。どこからでもかかっておいで」 「ぐおおお…!硬派に見えて天然!そしておちゃめ!笑顔!頭よしよし!これが師匠の力か…!?」 うん、イマイチそれは何を言っているのかわからない。 驚くキャットの頭を撫でてやると、真っ赤になって冗談の仕返しをされてしまった。 キャットは照れ屋さんだからな。俺のクセだからなでなでは許して欲しい。

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